日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: 2-5
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2014例会:口頭発表
生活場面で実践できる力の調査
食生活
*星野 洋美吉本 敏子小川 裕子室 雅子吉岡 吉江安場 規子吉原 崇恵
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抄録
<目的>
 家庭科の学習は、基礎的・基本的な学習が実生活の場面で実践できる力となることを目指している。そこで、日常の具体的な生活場面を想定し課題解決ができる力がどの程度身についているかを把握するための調査を行った。本調査の設計については、日本家庭科教育学会2013年度例会にて既に報告をしている。調査内容は、消費生活・環境、食生活、衣生活、住生活、家族・家庭生活の5設問で構成されているが、今回報告するのは、食生活に関する結果である。
<方法>
調査時期:2013年3月~10月  
調査対象者:愛知県,静岡県,三重県の中学1年生(小学6年生を含む)298名、高校1年生(中学3年生を含む)456名、大学1年生567名   
調査方法:質問紙法による集合調査 回収率:100% 
分析方法:1)回答の記述内容を読み取り、データベースを作成した。2)そのデータを集計(エクセル統計、χ2検定)し考察した。
<結果>
 食生活における調査内容は、家族のために食事をつくる場面を設定し、まず(1)献立を考え空白のある調理計画表を完成させること、次に(2)献立を決める際の理由についての記述回答、を求めている。 この調査から読み取りたい内容を、a)食物と健康の関わり、栄養素の種類と働きに関する知識、そして調理の基本的な技能について、実生活において応用ができる、b)食生活に関心を持ち、食に関する家庭内労働に積極的に関わることができる、c)家族の一員としての自覚と責任を持ち、家族一人ひとりを気遣うことができる、の3つとした。aは、科学性(知識・技能の応用力)を、bとcは生活合理性(状況把握、姿勢や態度、価値観)を読み取ることができると考えた。
調査の結果は以下の通りであった。 (1)献立名を正しく表記できたのは中学生95.2%,高校生98.1%,大学生97.9%で、献立に合った食材表記は中学生91.0%,高校生73.6%,大学生78.0%、食材を主な栄養素欄に正しく表記できたのは中学生88.7%,高校生87.3%,大学生95.1%であった。調理難易度(A=切る+加熱,、B=切る又は加熱、C=そのまま)は、中学生はA41.8%,B54.2%,C4.0%、高校生はA31.6%,B63.8%,C4.6%、大学生はA44.7%,B33.6%,C21.6%であった。 (2)献立を決める際の理由の記述(複数回答)については、栄養,,嗜好,年齢,季節,手軽さ,授業で学習,和食など項目別に分類して集計した。最多回答項目は栄養で、中学生64.0%,高校生62.5%,大学生54.4%であった。
(1)のデータおよび(2)の記述内容の分析結果から、科学性すなわち課題解決のために知識や技能を総合して活用できる力は、発達段階に応じて身についてきていると思われた。また、(1)の献立に関する回答で献立及び食材の種類が成長とともに多様化することや、(2)の献立決定理由に高校生さらに大学生では電子レンジ等を使った手軽な調理の記載が多くあることから、年齢に伴い経験と情報量が増え、新しい食品や調理器具にも柔軟に適応し、食に関する家庭内労働に積極的に関わる者も多くなっていると推察できた。
(2)の記述内容の分析結果から、生活合理性、つまり状況を把握し問題解決のための方策を考え公益優先の意思決定ができる力についても、個人差は大きいものの、発達段階に応じて身についていると考えることができた。献立決定理由に全体的に栄養を考えて決めたという記述が多かったが、年齢が上がるにつれ家族の気遣いが見られる栄養・年齢・和食などの記述が増加傾向にあることから、成長に伴い家族の一員としての自覚と責任がより身につき家族への気遣いができていることがうかがえる。
次に多い和食の記述については、高齢者への配慮や、伝統的な食習慣の浸透、さらに和食に関わって季節食や旬など地産地消そして環境への配慮につながる記述も高大生に多くみられた。しかしながら、これら記述回答については慎重に検討する必要性を感じた。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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