日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: A1-2
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第59回大会:口頭発表
親と子どもの間の時間に関する規則有無と中学生の時間管理行動および時間使用に関する自己評価
*李 秀眞
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抄録


研究目的 本研究の目的は、親と中学生子どもの間の時間に関する規則有無によって、中学生の時間管理行動および時間使用に関する自己評価に差があるのかを明らかにすることである。時間に対する規則として、メディア接触規則および帰宅時間に対する規則を設定し、男女別の分析を行う。

研究問題 研究問題を3つ設定した。<研究問題1> 親と中学生子どもの間の時間に関する規則有無は、家族背景によって異なるのか。<研究問題2> 中学生の時間管理行動および時間使用自己評価は性別、学年別の差があるのか。<研究問題3> 親と中学生子どもの間の時間に関する規則有無によって中学生の時間管理行動および時間使用に対する自己評価は差があるのか。

研究方法 分析に用いるデータは日本ベネッセ教育総合研究所が実施した「放課後の生活時間調査(2009)」である。本調査は、2008年11月に日本全国の小学校5年生から高校2年生まで総8,017名を対象として実施されており、児童および青少年の生活時間実態および時間に対する意識等に対する情報を含む。本研究では、生活時間の合計が1440分になる中学生3,372名を研究対象とする。

分析に用いる変数 時間管理に関しては、時間管理の下位領域を自立性、規則性、計画性に区分し測定した。自立性に関する項目2項目、規則性に関する項目2項目、計画性に関する項目3項で構成した。各尺度の信頼度Cranbach’s α値は、自立性0.733、規則性0.691、計画性 0.725であり、信頼できる水準であった。それぞれの項目は、4点尺度(とてもあてはまる(1)~まったくあてはまらない(4))で測定され、本研究ではリコードして分析に用いた。時間使用に関す自己評価は「あなたの日ごろの時間の使い方は、100点満点で、だいたい何点くらいだと思いますか」という質問への回答を用いた。時間に対する規則は、家に帰る時間、テレビを見る時間、テレビゲームや携帯ゲーム機で遊び時間がそれぞれ決まっているのかで測定したが、例えば、家に帰る時間は「家族(お父さんとお母さん)と次のような時間のルール(約束ごと)を決めていますか」という質問に対し、決めていない(1)、決めているが守れていない(2)、決めていて守っている(3)で測定した。テレイを見る時間、テレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ時間に関しても同様の方法で測定した。その他の変数として、父親の学歴、母親の学歴、母親の就業形態、本人の性別、学年を用いる。分析に際し、χ2検定 、t-test および一元配置分散分析を実施した。

分析結果 親の学歴および母親の就業形態と時間に関する規則有無の関係を分析した結果、親の学歴が大卒以上であると、テレビをみる時間とテレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ時間に対する規則が「決めていて守っている」という回答が多かった(研究問題1)。性別による時間管理行動および時間使用に対する自己評価に対する平均点の違いを分析した結果、自立性と計画性は男子学生より女子学生の方か高かったが、規則性と時間使用に対する自己評価は男子学生の方が高かった(研究問題2)。最後に、親と中学生子どもの間の時間管理行動および時間使用に対する自己評価に差があるのかを分析した。「決めていない」をグループ1、「決めているが守れていない」をグループ2、「決めていて守っている」をグループ3と命名する。家に帰る時間、テレビを見る時間、テレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ時間に関する規則有無と時間管理行動の下位領域である自立性、規則性、計画性との関係をみると、グループ2においてもっとも点数が低く、これは男子学生と女子学生で共通した結果であった(研究問題3)。

考察 これらの結果は、規則があるが、守らなくてもよいという経験をしたら、規則が規則として作用しない可能性を示唆している。すなわち、時間管理等の生活規則に関しては、規則を決めるだけでなく、規則を決め、またそれを守るように誘導することが必要であることが示唆された。
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