日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: P06
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第59回大会:ポスター発表
イングランドにおける「レッスン・スタディ」の動向
―ロンドン市の教育委員会及び中等学校の食関連授業などの事例研究を基に―
*井元 りえ荒井 紀子一色 玲子亀井 佑子神澤 志乃貴志 倫子鈴木 真由子羽根 裕子
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抄録
【目的】  レッスン・スタディは、日本の授業研究が海外に輸出されて広まった名称である。昨年発表したように、TIMSS(国際数学・理科教育調査)を契機として、アメリカから世界に広まった1)。インターネット調査により、イングランドにおいてもレッスン・スタディが活発に実践されていることが明らかになったため、その中心的人物にコンタクトをとり、実践状況について調査をすることにした。  そこで、本研究は、イングランドにおけるレッスン・スタディの動向について、事例研究を基に、その一端を明らかにすることを目的としている。 【方法】 ロンドン市カムデン区教育委員会のPeter Dudley氏へのインタビュー調査(日時:2016年2月29日(月)15:40~16:50)Dudley氏が著したレッスン・スタディのNew Handbook(2014年5月発行)の分析中等学校Hampstead Schoolにおけるインタビュー調査(数学、PSHCE、Hospitality & Cateringの3名の教員)及び授業見学(Catering/Food)(日時:2016年3月2日(水)9:30~12:00) 【結果】 1. ロンドン市カムデン区におけるレッスン・スタディ  レッスン・スタディのプロセスは、以下のような7つの段階のステップを踏み、教師の協働性を高め、生徒の学力や意欲の向上を目指し、実際に成果を上げていることが明らかになった。 ・教師の小グループ(あるいは二人の教師)が、日々の授業や定期的な評価から集めたデータを用い、生徒の学びや成長のための改善の目標を定め、それを遂行するための指導技術を明らかにする。 ・3人の抽出児を決める。各生徒は、クラスの中の3つのグループの典型的な生徒とする。 ・教師が合同で「研究授業」を計画する。その授業においては、開発手法を用い、新しい教育方法の効果を綿密に研究し、かつ3人の抽出児を心に留めておく。 ・  生徒に教授する際、抽出児の学びと進歩に焦点を当てながらその研究授業を合同で観察する。 ・  授業後には抽出児にインタビューをし、生徒の洞察を取り入れる。 ・  実践した研究授業についての議論を行い、指導技術に対する抽出児の反応や進歩、学びのエビデンス、あるいは抽出児が見せた困難を明らかにし、教授あるいは学習の方法について何が学びとれたかを、次回に向け分析する。 ・  その結果を、その他の教師たちが大勢集まった場で、発表したり、実演したり、あるいは指導することによって、公式に共有する。 2. 中等学校におけるレッスン・スタディの実践例 (1)訪問校Hampstead Schoolの特徴 1)  キーステージ3,4及びシックス・フォームを擁する中等学校でレッスン・スタディに積極的に取り組んでいる。 2)  Catering、Food Technology (D&Tの一部)に力を入れている。 3)  ユニセフの「子どもの権利を大切にする学校 (Rights- respecting School)」である。 (2)レッスン・スタディの実践状況 ・数学においては、レッスン・スタディによる授業改善により、生 徒の成績向上が現れていた。 ・日本の家庭科の内容を扱っている科目としては、Art and Designの中に、Catering, DT, PhotographyとTextilesの4つがある。また、PSHCE (Personal Social Health Citizenship Education) がある。これらの科目においてもレッスン・スタディが行われていた。  引用:1)日本家庭科教育学会第58回大会要旨集p.190-191  本研究は、科研費基盤研究(B)15H03505の一部である。
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© 2016 日本家庭科教育学会
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