日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: P18
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第59回大会:ポスター発表
ニュージーランドにおける衣生活教育
*杉村 桃子
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抄録
【目的】:ニュージーランドでは、1980年代後半に実施された大規模な教育改革以降、カリキュラム分野において特徴的な取り組みが指摘されている。ナショナルカリキュラムでは、OECD(経済協力開発機構)動向を反映させ、8つの学習領域それぞれについて8つのレベルが示されている。また、各学年に対応するレベルが明示され、8段階で示された身につけるべき事項をいつ頃に学習するべきかについても明示されている。しかし、ナショナルカリキュラムには、具体的な内容や方法は示されていない。また、ニュージーランドでは、教科書も検定制度も存在しないため、授業内容や構成、教材に至るまですべてが教師の裁量に委ねられている。このような状況で、各学校はナショナルカリキュラムに基に学校独自のカリキュラムを作成し、教師がそれを基に授業を創るため、教師の専門性が尊重されている。教育評価については、ナショナルスタンダードと全国資格認定試験(National Certificate of Educational Achievement:NCEA)が導入されている。これらにより、多様な評価ツールが開発され、児童・生徒の学習達成度を明確にすることが可能となっている。
本研究では、ニュージーランドの家庭科教育の実態について、衣生活教育を中心に明らかにすることを目的とする。
【方法】:本研究には、ニュージーランド政府、教育省等のwebサイトから入手した公開情報、当地で刊行されている文献、報告書等を分析した。ニュージーランドで評価を行う際に使用されているAchievement Standards(到達度基準)と新しい教育制度のもとで実際に使用されている教材を分析した。Achievement Standardsの中ではTechnologyの衣生活分野を扱っているAS 91055、AS 91058、AS 91060、AS 91096、AS 91354、AS 91357、AS 91616の学習に関する生徒のレポートと解説を分析した。教材については、教育達成度国家資(NCEA)の試験の参考書であるStudy Guideの第11学年(Year11)が受験するNCEAレベル1のTechnology Study Guideの中で衣生活分野に相当するChapter3とChapter12に着目し、学習計画や内容について分析した。
【結果及び考察】:ニュージーランドの学校教育における家庭科は、ニュージーランドのカリキュラムの枠組み(the New Zealand Curriculum Framework)では、テクノロジー(Technology)と保健体育(Health and Physical Education)の中の家政学(Home Economics)に組み込まれていた。ニュージーランドでは、知識や態度よりも技能を習得することに重点がおいて学習活動が進められ、技能面において高いスキルが求められていることが分かった。
評価の基準はUnit StandardsとAchievement Standardsの2つがあり、これらの基準に照らし合わせて、NZQAによる全国統一試験が行われ、教師は校内試験により評価が行われていることが分かった。Achievement Standardsには、科目ごとに各レベルで求められる到達目標基準が詳細に設定されていた。生徒が高評価を得るためには、作品を提出するだけではなく、作業手順を示すこと、行動の理由を説明する等の製作過程が重視されることが生徒のレポート並びにその解説から分かった。
Study Guide から、布地や型紙を使用して布製品を製作する学習を行う。被服製作学習では、詳細な製作過程や留意点が示されていて、生徒が正確な製作手順に基づいて作業を進めていくことが重要とされていることが分かった。生徒は製作した作品を販売したり、生徒自身が作品の特徴や製作過程をまとめることを行っていて、日本の製作学習よりも高いレベルが求められていることが分かった。
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© 2016 日本家庭科教育学会
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