日本家政学会誌
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金属イオン処理PET布帛に固定化した大豆由来ペルオキシダーゼを用いたオレンジⅠの退色反応
藤本 明弘森田 みゆき
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2020 年 71 巻 8 号 p. 542-548

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抄録

 ペルオキシダーゼ漂白システムの染色廃液処理への開発利用を目的として, 大豆非可食部から抽出したペルオキシダーゼの固定化を試みた. 金属イオン処理したPET布帛への大豆由来ペルオキシダーゼ (SPO) 固定化条件と固定化SPOによるオレンジⅠ退色の繰り返し反応性について検討した.

 PET布帛の金属イオン処理のpH, 金属イオンの種類の影響を検討した結果, 鉄 (III) イオンではpH4, アルミニウムイオンの場合では, pH7を最適条件と決定した. また, マンガンイオンは, 全てのpH条件下でPET布帛に吸着されなかった.

 SPO固定化pHの影響について検討した結果, 鉄イオン処理, アルミニウムイオン処理をおこなったPET布帛 (SPO-Metal-PET布帛) どちらも最適pHがpH4となった. オレンジⅠ退色反応の繰り返し反応性について確認したところ, 繰り返し反応3回目において, SPO-Fe-PET布帛の場合, 反応時間240分でオレンジⅠ残留率が約40%となった. SPO-Al-PET布帛でも同様であった.

 したがって, SPO-Metal-PET布帛はオレンジⅠの退色反応に繰り返し利用できることが明らかになった.

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© 2020 一般社団法人 日本家政学会
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