日本家政学会誌
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グルテンフリー米粉パンの製パン性に及ぼすオレンジを用いたスロージューサー残渣の影響
武智 多与理齋藤 公美子原 康香志和 睦萬成 誉世畠中 芳郎髙村 仁知
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2021 年 72 巻 11 号 p. 709-718

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抄録

 近年, 小麦などのアレルギー疾患が大幅に増加している. 本研究は, グルテン代替物質としてオレンジを用いたスロージューサー残渣粉末を添加したときのグルテンフリー米粉パンの製パン特性を, 物性面および食味への影響から明らかにした. スロージューサー残渣粉末の添加により, 生地の粘度が上昇し, 焼成パンの比容積が大きくなって, きめの細かい良いパンが調製できた. しかし, 8%以上の添加では, パンの膨化を阻害する傾向が見られた. 官能評価の結果, スロージューサー残渣粉末を4~6%添加することで, 有意に好ましいと評価された. スロージューサー残渣粉末を4~5%の割合で添加することで, グルテンフリー米粉パンの製パン性が向上した. グルテンフリー米粉パンの調製において, スロージューサー残渣粉末は, 適量の添加で, 増粘・安定剤としての効果をもたらし, グルテン代替物質となりうることが期待できる.

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© 2021 一般社団法人 日本家政学会
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