2022 年 73 巻 6 号 p. 344-357
本研究は「日本男女大学生の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対する認識及びマスク着用行動」について明らかにすることを目的とした.
(1) 男女群の比較 (t検定) では27項目中, 12項目に有意差が認められた. 12項目のうち11項目は女性の平均値が高かった.
(2) 「市販マスクのつけ心地」は, 女性の約4割が「良くない」, 男性の3割が「良い」と答えた (p<.001). 「マスクのつけ心地のよくない部分」は男女共に「耳ひもをかける部分」が約4割であった.
(3) 構造方程式モデリングを用いた全体 (n=252) の解析では, 『日常生活の変化』は, 『社会との距離』 (パス係数 ; 0.68), 『コロナへの危機意識』 (0.29), および『マスク性能情報』 (0.24) に関連していた.
(4) SEMにおける男女集団同時分析では, 男性では, 『日常生活の変化』は, 『社会との距離』 (0.50), および『コロナへの危機意識』 (0.30) に関連していた. 女性では, 『日常生活の変化』は, 『社会との距離』 (0.85), および『マスク性能の情報』 (0.39) に関連していた. 以上より, 男性より女性において『日常生活の変化』がマスク着用を含む行動に及ぼす影響が強いことが示唆された.