日本家政学会誌
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フキ (Petasites japonicus) の葉柄および花穂の調理によるピロリジジンアルカロイド類含有量の変化
竹中 真紀子木村 俊之三宅 紀子等々力 節子漆山 哲生
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2023 年 74 巻 10 号 p. 555-567

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抄録

 フキの葉柄および花穂の調理によるピロリジジンアルカロイド類 (PAs) の低減について評価するため, PAsの高精度な分析法として固相抽出UPLC-MS/MS法を開発し, 各種フキ調理品 (葉柄の青煮, 炒め煮, 佃煮および天ぷら, 花穂のふき味噌および天ぷら) におけるPAsの低減について調べた. PAsの残存割合 (調理前 (あく抜き工程を含む調理ではあく抜き後) のPAs量に対する調理後のPAs 量の割合) は, 0.62–1.23であった. 6時間の水さらし工程を含むあく抜き処理におけるPAsの残存割合は, 葉柄では0.16, 花穂では0.34であったことから, PAsはあく抜き後の調理の工程よりもあく抜きの工程において効率的に低減できることが示唆された. PAsの低減が可能な6時間の水さらし工程を含むあく抜き処理を行って調理した葉柄は, 一般的な方法に近い30分間の水さらし工程を含むあく抜き処理を行って調理した葉柄と同等の嗜好性を有していた.

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© 2023 一般社団法人 日本家政学会
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