フキの葉柄および花穂の調理によるピロリジジンアルカロイド類 (PAs) の低減について評価するため, PAsの高精度な分析法として固相抽出UPLC-MS/MS法を開発し, 各種フキ調理品 (葉柄の青煮, 炒め煮, 佃煮および天ぷら, 花穂のふき味噌および天ぷら) におけるPAsの低減について調べた. PAsの残存割合 (調理前 (あく抜き工程を含む調理ではあく抜き後) のPAs量に対する調理後のPAs 量の割合) は, 0.62–1.23であった. 6時間の水さらし工程を含むあく抜き処理におけるPAsの残存割合は, 葉柄では0.16, 花穂では0.34であったことから, PAsはあく抜き後の調理の工程よりもあく抜きの工程において効率的に低減できることが示唆された. PAsの低減が可能な6時間の水さらし工程を含むあく抜き処理を行って調理した葉柄は, 一般的な方法に近い30分間の水さらし工程を含むあく抜き処理を行って調理した葉柄と同等の嗜好性を有していた.
高度経済成長期に盛んに建設された団地は, 50年以上が経過し, 老朽化がみられる. 老朽化した団地は, 再生住宅として, 既存建物を活かすために, 定期的な修理・修繕に加え, 断熱材の付加や耐震性能向上などの改修をしている. また, 近年では地球温暖化対策や持続可能な社会実現のために, 家庭レベルでも消費エネルギー削減の重要性が高まっている.
そこで, 本研究では, 再生住宅に住む居住者を対象に, 「消費エネルギー」に注目し, 住居属性及び消費エネルギーへの意識や生活行為と消費エネルギーとの関係を分析することで, 有効な消費エネルギー削減のための要因を提示した.
研究方法は, 再生住宅に住む居住者を対象に, 消費エネルギーや地球環境に関する意識, 消費エネルギー行為を問うアンケート調査を実施し, 集計および分析を行った.
居住者数と消費エネルギーとは高い相関があった. 消費エネルギー削減のための意識や行為に関しては, 「消費エネルギー削減行為」をしていることで効果を得ていた. 具体的には, 「節水・節電」, 「エアコンの温度調整」, 「緑化」をしていることで消費エネルギーを抑えていた. これらの適切な方法を居住者に提案することで, 効果が得られると思われる.
空き家がもたらす問題は, 管理不全によるものであることで, 空き家管理に特化して, 管理義務を知らせる啓発活動と管理不全空き家の予防, 相続登記に係る啓発等の3つに分けて, ①自治体が行っている啓発活動の状況, ②人口規模別と管理項目別との関係, ③空き家率別と管理項目別の関係を分析する. それによって空き家問題の第一歩である管理施策の効率的な啓発活動の方向性に示唆を得ることを目的とする.
全国市区町村の空き家対策計画などから空き家管理の施策の状況を把握し, 実際に管理のために行われている先進事例の啓発活動を項目別実施率と実施後の評価を調べるために市区町村の担当部署へアンケート調査を実施した.
調査結果は, 556自治体から回答の中で, 所有者の管理義務を知らせる啓発活動の実施率が最も高く, 81.3%から最低の25.7%となった. 空き家管理のためにより具体的な施策である管理不全空き家の予防のための啓発活動と, 相続登記に係る啓発活動の実施率は, 項目別に異なるが, 1割から2割で非常に低かった. 実施後の評価は, 項目別では, 50%以上から100%まで全般的に高く評価されていた. また, 項目別に異なるが概ね, 人口規模が多く, 空き家率が高い自治体で実施率や評価がやや高い傾向が見られた.
地域環境に悪影響を及ぼさないように空き家を管理しながら地域に合わせる活用ができる効率的な空き家対策として, 管理不全空き家の予防と, 相続登記に係る啓発活動が今よりもっと積極的に行われるべきだ.
1986年に『中華人民共和国義務教育法』が公布された後小中学校の統廃合が推進された. これにより, 内モンゴル自治区で多くの民族小中学校が廃止され, モンゴル族の民族教育を保障する場が減少し, 民族文化の伝承が困難になっている. そこで, モンゴル族の伝統文化を民族学校に取り入れたのが民俗の授業である. 本研究では, 内モンゴル自治区のモンゴル民族小中学校を対象に保護者と子どもの民族教育と地域連携に対する評価を分析した. その結果, 保護者の民族教育の受講状況, 居住地域, 子どもの学校を選ぶ時の理由などによって, 民族教育と地域連携の評価が違っていた. しかし, 子どもは民族教育全体に対して高く評価しており, 保護者とは異なり, 学校間で大きな差がなかった.