日本家政学会誌
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学校給食における偏食や好き嫌いについての指導の変遷
―戦後の学校教育への位置付け―
佐藤 雅子綾部 園子
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2024 年 75 巻 3 号 p. 119-131

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抄録

 学校給食における偏食や好き嫌いについての指導において, 学習指導要領及び学校給食指導に関する手引書における記載内容を整理した. 好き嫌いなく食べるということの記載は「昭和27年版手引」以降, 文部科学省 (文部省) 発行の小学校指導書もしくは「手引」に記載され, 1992 (平成4) 年以降は栄養バランスよく食べることの指導が示されるようになった. これによって栄養バランスのよい食事が大事という知識が定着した. 一方, 偏食や好き嫌いについての指導は個別の相談指導の対象として強制指導にならないよう配慮すべき内容として示されていたが, 集団と個別の双方において栄養バランスよく食べる指導がされたことから, 好き嫌いせずに栄養バランスよく食べなければならないと児童が意識したことが推察された. 個別指導を学校体制として定期的, 継続的に行うとともに, 集団指導における「栄養バランスよく食べる」ことの指導を行うなかで嫌いな食べ物があるということを否定せず, 「好きな食べ物を増やす」という見方を取り入れ, 食の多様性を拡げていくことが, 今後の偏食及び好き嫌いの指導を容易にするのではないかと考える.

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