2025 年 76 巻 6 号 p. 242-258
本研究では, 第二次世界大戦後から現在に至るまでの居住者を主体とする住居管理の変遷をたどり, 社会や住宅, 暮らし方とともに変化してきた住まいの管理行為, 内容を知り, これからの管理のあり方を考察することを目的とする. 1948年から2023年に発刊された『暮しの手帖』を閲覧し, 住まいや家事に関する記事を分析した.
生活者主体の情報が提供され続けているが, 住居管理の目的が変化し, 管理の範囲や対象は狭く, 限定的になる傾向がみられた. 暮らしやすさのための日常的な管理とともに, 住宅の耐震補強や高齢期対応の改修に加えて長期使用につながる住まいの管理について, 居住者の管理意識を養い, 居住者が適切な情報を得て継続的に管理が行われる社会的な仕組みを整備し実践していくことが, これからの持続可能な住まいの管理に必要である.