家政学雑誌
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糠味噌漬におけるビタミン B1 の移行とその組織化学的検索
漬物の漬かりに関する研究 (第3報)
支倉 サツキ川上 いつゑ
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1980 年 31 巻 4 号 p. 252-257

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抄録
だいこんの糠味噌漬およびそのモデル実験としてのVB1液漬の漬かりに伴うVB1の移行を検討した.
1) 食塩濃度1%, 5%および10%添加のVB1 1mg%液に漬けた (30℃) だいこんのVB1含量は, 食塩1 %添加液漬は24時間漬では5%と10%添加液漬に比してきわめて微量であったが, その後漬時間とともに増加し最終的には3液漬はそれぞれVB1漬液の1mg%に近づくことを認めた.
2) 食塩無添加VB1 1mg%液漬 (20℃, 30℃) だいこんのVB1含量は, 漬液濃度をはるかに超えて特異的に増加し, 漬物組織が軟化するまでは増加することを認めた.
3) 食塩濃度1%および5%添加のVB11mg% 液に26.5℃, 21時間漬けただいこんのVB1含量は, 後者がはるかに大であった. だいこん漬組織をチオクコーム法によった蛍光顕微鏡で観察した結果も蛍光の強さは以上のVB1含量と同傾向を示した.
4) 糠味噌漬 (30℃) だいこんの15時間漬では, 周辺部のVB1含量は中間部および中心部に比して大であったが, 漬時間とともにその差は縮小した.さらに組織化学的観察の結果, 15時間漬では蛍光度は皮層部に強く, 22時間および40時間漬では中心部にも強く認められた.
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