家政学雑誌
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米ならびに米デンプンのアミログラムによる粘度特性について (第3報)
玄米常温貯蔵したさいのもち, うるち米の粘度変化
庄司 一郎倉沢 文夫
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1981 年 32 巻 5 号 p. 350-355

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抄録

もち, うるち玄米を常温に貯蔵したさいの米ならびにデンプンの性質変化をアミログラムを中心に検討し, 次の結果を得た.
1) もち, うるち玄米を 1, 2年常温に貯蔵したさいのアミログラムからは米粉ではもち, うるち米とも新米に比して糊化開始温度が高く, 最高粘度が大となり, とくにもち米でその傾向が強い. 一方デンプン粒ではもち, うるち米とも米粉でみられたような各特性値の変化はみられなかった.
2) うるち玄米を7年常温に貯蔵したさいのアミログラムからは米粉では新米に比べて糊化開始温度がとくに高くなり, 最高粘度は小となった. デンプン粒では最高粘度が小となり, そのときの温度も極端に高くなった.
3) アミログラムにおける糊化開始温度が高いもち, うるち米粉は脂肪酸度, 水抽出酸度, アルカリ度が高い値を示し, もち, うるち米粉の糊化開始温度が高くなることには脂肪酸, 有機酸などが関与していると推測される.
4) アミログラムにおける最高粘度が極端に小さい値を示したうるち米の7年米デンプンにおいてはヨウ素呈色度が低くなったがこれはデンプン自身が変化していると推測される.

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