家政学雑誌
Online ISSN : 1884-7870
Print ISSN : 0449-9069
ISSN-L : 0449-9069
市販植物油中のトコフェロール含量とフライ油中のトコフェロールの変化
及川 桂子
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 32 巻 8 号 p. 581-587

詳細
抄録

市販植物油中のToc同族体を高速液体クロマトグラフィーにより分離定量した.さらにジャガイモ, アジ, 鶏肉を180℃の大豆油で揚げ, フライ油中のToc同族体の量を測定して, 大豆油中のToc量に及ぼす揚げ物の種類と加熱の影響について検討し, 次の結果を得た.
1) 市販植物油中のToc同族体含量は, 油脂の種類により大差が認められた.Toc生理活性合算値は, 大豆油は17~19mg/100g, 大豆油, なたね油およびトウモロコシ油を調合した天ぷら油ならびにサラダ油は 10~15mg/100gであった.
2) α, γ-Tocはすべての植物油に存在が認められたが, β, δ-Tocは存在の認められない植物油があった.
3) フライ油中のToc量は加熱時間が長くなるにしたがって減少し, 対照油およびジャガイモ揚げ油ではα-Tocの減少量が最も多く, アジ揚げ油, 鶏肉揚げ油では, 最初α-Tocの減少量が最も多かったが, 加熱時間が長くなるにしたがいγ-Tocの減少量が多くなった.δ-Tocの減少量は, いずれのフライ油においても最も少なかった.
4) 大豆油中のToc含量が多いほど, 加熱によるToc量の減少が少なかった.

著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top