家政学雑誌
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調理揚げ油の劣化がマウスの成長と血漿脂質成分に及ぼす影響について
山本 信子笠井 八重子柳 進
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1983 年 34 巻 7 号 p. 392-397

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抄録

3~4回揚げ物に使用した調理用揚げ油と使用前の新鮮油について, 化学分析, 官能検査, 動物実験を行って比較し, 次のような結果を得た.
1) 化学分析では, 酸価, 過酸化物価, TBA値, カルボニル価, 色度に差がみられた.
2) 官能検査では, 新劣油の区別ができなかった.
3) 基本飼料に30%の油を添加した飼料でマウスを飼育した場合, 40日以上では劣化油群の体重が有意に少なくなったが, 30%以外の群では, 差がみられなかった.
4) 60日飼育後の臓器の重量は, 脂肪組織では, 劣化油群が, 新鮮油群に比較して低かった.
5) 60日飼育後の血中コレステロール値は, 45%新鮮油群と0%群との間には, 有意な減少がみられた.しかし劣化群では, コレステロール低下効果はみられなかった.
以上の結果から, 軽度の加熱劣化油でも飼料の濃度と飼育期間によっては, マウスの体重や, 臓器, 血中脂質に影響を及ぼすことが考えられた.

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