日本家政学会誌
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フレアースカートの形態と揺動性
千葉 桂子樋口 ゆき子
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1988 年 39 巻 12 号 p. 1289-1294

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抄録
フレアースカートの静態時における形態を把握するために裾線形状の解析を行い, また, 回転振動を与えた場合の揺動性についてとらえた結果を要約する.
1) 裾線形状の曲率を基にコレログラムを求めて解析を行うことにより, 振幅と周期の2変量で, 形態的特性を説明することができた.スカート丈が長いものほど, 振幅が大きく, 周期も長く, スカート丈が短いものに対して, 不規則だといえる.
2) 画像解析により, 揺動時の軌跡を描かせた.それにより, スカートの裾付近の動きは, スカート丈の違いによって異なることがわかった.丈の短いものは, 人台の腰部に追従して揺れにくく, 振動の影響を受けにくい.逆に丈の長いものは, 自重による遠心力や空気抵抗が作用し, 複雑に揺動することがわかった.
3) 揺動量を距離的にとらえた.軌跡からもわかるように, 丈の長いものが, 最も大きい値を示しており, これも自重による影響が強いと思われる.
スカートを作製するにあたり丈の長さを変えることによって, 使用する布の分量が異なる.すなわち, それはスカートの自重の違いを生じるものであり, フレアースカートの形態と揺動性を決定する要因の一つだと考えることができた.
フレアースカートの形態と形態変化に関しては, 素材の要因やパターン上の因子も重要である。また形態変化の解析には解析時間を増やして, 詳細を知ることが必要である.
今後は装置による振動を条件とするばかりではなく, 実際の人体の下肢運動に着目して, フレアースカートの揺動性について検討を進めていくことにする.
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