日本家政学会誌
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団らん空間に影響を及ほす諸要因に関する研究 (第3報)
生活時間・生活行為からみた団らんの実態
太田 さち河野 安美國嶋 道子梁瀬 度子
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1989 年 40 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

本報においては, 生活時間・生活行為という面から団らんについての客観的把握を試み, 団らんの実態に影響を与える要因を抽出した.また, 意識上の団らん時間との対応をみ, 主婦が何をもって “団らん” と考えているのかをさぐった.
その結果, 以下のような知見が得られた.
1) 主婦の意識上の団らん時間は平均約2時間であり, これはLDKに全員そろうかまたは一人欠けてそろう時間と一致する.それには, 主婦が団らんに家事をしながら “ながら参加” をしている場合も含まれる.しかし, 主婦は “ながら参加” を団らんと認めてはいるものの, その時間は団らんとしては満足な状態ではなく, 質が問題になるといえよう.また, 意識上の団らん時間が短い人ほど “団らん” とは家族全員そろうか一人欠ける程度でそろい, 共通行為を行っている状況であると考えている.
2) 集合住宅のほうがあつまり時間と団らん時間の差が大きく, 戸建住宅よりLDK空間がさまざまなことに利用されていると考えられる.
3) 余室数が多いとLDKにおける団らん時間が短くなり, 逆に室数の不足は団らん空間の多面的な利用を促している.また, 生活形態の影響も受けており, 子供が小さかったり大人だけの世帯で団らん時間が長く, 子供が中高生の頃最も短い.
4) L, D, K の結びつきが密接なほど時間が長く, セパレートタイプのようにLからDやKをまったく分離してしまうと, 主婦の団らんへの家事をしながらの “ながら参加” を陽害する.主婦の団らん参加を阻害しない程度にLからKへの視線を分離するタイプが, 今後望ましいといえる.

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