日本家政学会誌
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バタースポンジケーキのテクスチャーに及ぼす卵黄含量および膨化剤の影響
川染 節江山野 善正
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1989 年 40 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

バタースポンジケーキのテクスチャーに及ぼす卵黄含量と膨化剤の影響を検討するために, 卵200g, 上白糖100g, 薄力粉100g, バター80gを基本配合とし, 卵200gのうち, 卵黄含量を0, 15, 30, 45, 60%の5試料で, 膨化剤0.5g添加と無添加について実験し, 次のような結果が得られた.
1) 生地の比重は, 卵黄含量が0から45%へ増加するにつれて小さくなり, ケーキの比容積は逆に卵黄含量が増加するにつれて大きくなった.
2) 「かたさ」, 「ガム性」, 「そしゃく性」は, 卵黄含量30%までは急激に, 30%以上では緩慢に低下した.「凝集性」および「弾力性」の値も卵黄の増加につれ低下し, 「凝集性」, 「かたさ」, 「ガム性」および「そしゃく性」は, ケーキの比容積との間に負の相関性が高かった.これらの結果に膨化剤添加の明確な効果は認められなかった.
3) 両極7点法による官能評価は, 卵黄含量30および45%の試料が高く, 0および60%のものが低く, 順位法による好ましさの評価と傾向が一致した.
4) 「色のよさ」, 「口あたり」, 「しっとりさ」, 「総合評価」と, レオメーターによる5パラメータのうち, 「かたさ」, 「ガム性」, 「そしゃく性」との間にそれぞれ有意な負の相関性が得られた.
5) バタースポンジケーキのテクスチャー管理に, 卵黄含量のコントロールが有効な手段であり, 通常の全卵中の卵黄含量約34%から約10%多い45%までの含量からよい製品を得ることが明確になった.

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