抄録
栽培品種の異なるじゃがいも (男爵とメークイーン) の調理特性の違いを, それらの細胞壁構成多糖を含む非澱粉性多糖の構造との関連から検討しようとし, まず, 水可溶性多糖について比較検討を行った.
1) メークイーンは, 男爵に比し, 非澱粉性多糖の収量は高値を示し, アルカリ可溶画分つまりヘミセルロース画分の収量が高値を示した.一方, 男爵では, 細胞間物質であるペクチン画分の割合が高値を示した.
2) カラムクロマトグラフィーで水可溶性多糖を分画したところ, メークイーンからは, グルコースのα-1→6結合からなる2種類のグルカンが得られた.また, 男爵からは, ウロン酸を始め, ガラクトース, アラビノース, グルコース, ラムノースなどからなる複雑な構造をもつ多糖が得られ両者のいもに顕著な違いが認められた.