日本家政学会誌
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40 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • -死別への準備と適応-
    高橋 久美子
    1989 年40 巻7 号 p. 575-585
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Husbands and wives who coped with, the crises of the independence of their children and the retirement, further in old age, have to confront more serious crisis that is the death of their spouses. The purpose of this study is to examine problems of the preparation and adaptation for the death of their spouses. The investigation was conducted to the widowed over 60. Among them, those who had been over 55 when their spouses had died, under 20 years after their spouse's death, and had children were selected. The samples were 174 males and 207 females.
    The results are summarized as follows :
    Nearly half of them did not talk with spouses on problems after the separation by death. Among changes of life after spouse's death, it is remarked that anxieties about their old age and the feeling of loneliness have been increasing. Man's feeling of loneliness is stronger than woman's one. After spouse's death, children play an important role as the object of emotional tie, but do not match spouse. However, the influence of spouse's death on the idea concerning living with a child is not so much. Thirty % of males and 40 % of females still want to live apart from children.
  • 日常生活における唾液中α-アミラーゼ活性の変動におよぼす要因に関する検討 (第2報)
    田中 伸子, 岡村 浩
    1989 年40 巻7 号 p. 587-592
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    唾液中α-アミラーゼ活性の変動要因として日常喫飲する機会の多い紅茶につき検討を加えた結果をまとめると次のようになる.
    1) 日常われわれが喫飲する濃度に調製した, 各種茶類 (日本茶, ウーロン茶, 紅茶) おのおのの抽出液を直接添加し, 唾液中α-アミラーゼ活性を測定したところ, 紅茶は特異的に活性を低下させることが認められた.
    2) 唾液中α-アミラーゼ活性低下因子として紅茶中のタンニンが作用しているものと推察された.
    3) 同一の生茶葉から製造した日本茶, ウーロン茶, 紅茶を用いて比較検討の結果, 活性低下因子としてタンエソの含有量よりもむしろ紅茶製造中に生じた重合度の高い高分子タンニン, すなわち, タンニンの組成が大きく関与していると考えられた.
    われわれが日常直接口にする機会の多い食品 (各種茶類) が唾液中α-アミラーゼにいかなる影響をおよぼしているのか, 作用する食品側からの検討を試みたわけであるが, 今後はさらに一歩進めて, 影響を受ける側すなわち, α-アミラーゼがなぜ特異的に影響を受けるのか, その活性低下機構につき詳細に検討していきたい.
  • 大谷 貴美子
    1989 年40 巻7 号 p. 593-601
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    栽培品種の異なるじゃがいも (男爵とメークイーン) の調理特性の違いを, それらの細胞壁構成多糖を含む非澱粉性多糖の構造との関連から検討しようとし, まず, 水可溶性多糖について比較検討を行った.
    1) メークイーンは, 男爵に比し, 非澱粉性多糖の収量は高値を示し, アルカリ可溶画分つまりヘミセルロース画分の収量が高値を示した.一方, 男爵では, 細胞間物質であるペクチン画分の割合が高値を示した.
    2) カラムクロマトグラフィーで水可溶性多糖を分画したところ, メークイーンからは, グルコースのα-1→6結合からなる2種類のグルカンが得られた.また, 男爵からは, ウロン酸を始め, ガラクトース, アラビノース, グルコース, ラムノースなどからなる複雑な構造をもつ多糖が得られ両者のいもに顕著な違いが認められた.
  • 金 和子, 小林 彰夫, 河村 フジ子, 松本 睦子
    1989 年40 巻7 号 p. 603-608
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    辛味大根と青首大根の辛味臭成分をエーテル振とう抽出により分離し, GCおよびGC-MSにより分析し, 比較した.辛味大根の香気成分は99.5%以上が含硫化合物であり, 5種のメチルチオイソチオシアネートが主要成分として同定された.なかでも, (E) -4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートは香気中96.5% (62.7mg%) を占め, かつこの化合物は1.3ppm以上あると単独でも生大根辛味臭を呈し, 濃度の増加につれ香辛性が強化される.実際の辛味大根中における存在量は627ppmであることから, 辛味大根の辛味臭は主としてこの物質であることが明らかとなった.
  • 縮緬の地直し処理が運針の糸しごき力にあたえる影響
    阿部 栄子, 大村 寧
    1989 年40 巻7 号 p. 609-617
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Using a device made for a trial to record continuously the drawing force Fd, produced along a seam by worker's fingers, Fd diagrams were obtained. Analyzing these diagrams, the mechanical properties of cloths related to Fd were found. Then the differences of Fd between pre- and after-shrunk cloths were discussed. The results were obtained as follows :
    In Fd, (1) the force constricting the interpenetrated sewing needle with the sewn cloths and (2) the force flattenning out crumpled cloths on the needle being held in the sewing-worker's right palm are concerned. (1) has some connections with dia. of sewing needle, stitch length, density of cloths, Young's modulus of cloths, and c with stitch length, bending rigidity and hysteresis of bending moment of cloths. High correlations between these factors and Fd were observed.
    By the shrinking treatment, density, bending rigidity and hysteresis of bending moment of cloths decrease and Young's modulus of cloths increases. But, as the contribution of Young's modulus to Fd is smaller than those of other properties, Fd of shrunk cloths result smaller values than those of unshrunk ones, when the cloths sewn with the same stitch length using the same size of needle.
  • 永井 房子
    1989 年40 巻7 号 p. 619-626
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    手縫いにおける縫合後の縫い糸の疲労について, 150cm縫合後の縫合過程における縫い糸, および10cm縫合を25, 50, 75回と縫合回数を変化させたモデル実験による針穴接触部, 非接触部縫い糸について強伸度測定を行い検討した.さらに走査型電子顕微鏡写真によりこれらの縫い糸の表面状態を観察した.
    1) 縫合過程における縫い糸の疲労性については, 縫い始めより縫い終わりの段階で縫い糸の強・伸度低下率およびタフネス低下率が大きい.試料糸別タフネス低下率は絹小町糸>綿手縫い糸30番>カタン糸30番で, これは岡木綿Iで最大, さらし木綿で最小である.これより縫合による縫い糸の疲労には, 試料布の剛軟度および糸密度の大小が関与することがわかる.
    2) タフネス低下率20%前後までを限度とすると, 絹小町糸を除いてカタン糸30番, 綿手縫い糸30番では縫い始めより60cmくらいまでが疲労が少ないといえる.
    3) 手縫い縫合のモデル実験において, 縫合回数による針穴接触部, 非接触部の縫い糸の疲労は, 縫合回数が増加すると針穴接触部, 非接触部いずれにおいても進行し, 強・伸度低下率およびタフネス低下率は増加する.とくに針穴部の縫い糸の低下率が大きい.
    またタフネス低下率は試料糸により異なる様相を示し, 絹小町糸では針穴接触部であるか非接触部であるかが, かなり大きな因子であり, 綿手縫い糸30番では試料布の違いがより大きい影響を及ぼす.カタン糸30番は75回縫合の場合を除いて約25%以内のタフネス低下率を示し, きわめて疲労が小さい.
    4) 走査型電子顕微鏡写真の結果より, 縫い糸は縫合後疲労すると毛羽が多くなり, 糸の構成が乱れることがわかる.これは縫い糸が縫合時にしごかれるためと考えられる.
    5) 以上の結果, 手縫いにおける縫い糸の疲労は縫い糸の種類, 縫合距離, 布の物性, 針穴部などが関与するといえる.
  • -無店舗販売を中心にして-
    酒居 淑子, 松村 京子, 貴田 康乃
    1989 年40 巻7 号 p. 627-631
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 加藤 真弓, 八木 茂子, 重弘 文子
    1989 年40 巻7 号 p. 633-640
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    家庭におけるセーター類の手洗いの実情を把握するため, 家庭で所持しているセーター類の実態および, セーター類の手入れに関する意識や実態, 実際の手洗い行動を調査した.その結果から, 家庭における手洗いの問題点と課題を考察した.
    1) 家庭で所持しているセーター類の繊維は大人ものでは毛80%以上が約6割を占めている.14歳以下の子供のものは毛の混用率が低い.また, 絵表示は毛の混用率の高いものほど「水洗い不可」が多い.
    2) 家庭で所持しているセーター類の実際の洗濯方法は, 毛の混用率が高いもの, 値段が高いものほどドライクリーニングが多い.絵表示に従って洗濯されているものが全体の約8割を占めているが, 「水洗い不可」のものでも3割は家庭で洗われている.
    3) セーター類の手入れに関する意識としては, 「上手に洗えるなら自分で洗いたい」など手洗いに積極的な姿勢がみられるが, 上手に洗う自信のある人は非常に少ない.ドライクリーニングにだす理由は「獣毛だから」, 「収縮が心配」, 「値段が高い」などである.
    4) 手洗いするときに心配な点は, 「収縮」86%, 「型くずれ」42%の2点である.
    5) セーター類の手洗い方法は個人差が大きい.毛80%以上のセーターの実際の手洗い行動の観察結果によると, 洗い方は押し洗いが多いが, 「もみ」や「つかみ」の動作もみられる.温度は25~35℃, 洗いの後は押ししぼりが多く, すすぎは2~5回以上で, 時間の長い人もみられる.最後の脱水は脱水機使用が多く, ざっと形を整えてハンガーやサオに干す人が多い.このような実態を収縮や型くずれの点からみると, 洗いの動作や時間, 脱水方法, 干し方などに検討すべき点が見いだされた.
  • -阪神地域に在住する女性の場合-
    藤原 康晴, 所 康子, 川端 澄子
    1989 年40 巻7 号 p. 641-646
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    死蔵被服の有効利用に関する基礎資料を得るために, 阪神地方に在住する女性を対象に, 各家庭で死蔵されている被服の枚数, 死蔵となった理由, 死蔵被服の処理方法, 他者の古着着用に対する態度, 服装の関心度などについて調査した.
    被服は, 流行遅れやサイズがあわなくなるなどの理由から死蔵されるようになり, 保有されている死蔵被服は1世帯平均54.2枚にも達している.現有の死蔵被服の処分に関しては, 使用してくれる人があれば有償よりもむしろ無償でゆずりたいとの意向をもっている反面, 他者の古着を着ることに抵抗感をもつ者が多い.また, 対象者の約半数は死蔵被服をリフォームして再使用したい意向をもっていることがわかった.
    死蔵被服の保有量は, 服装の関心度と関連があったが, 対象者の基本属性との関連は小さく, 有意な関連がみられたのは, 住宅の間取りと年収だけであった.
    死蔵被服の流通を促進して互いに利用する, リフォームして当人あるいは身近な者が利用する, が日常生活における死蔵被服のおもな利用法であるが, 本調査結果では, 前者よりも後者のほうが効果的な方策になりうることが想定された.
  • -CAI, CMI導入の事例分析から-
    内藤 道子
    1989 年40 巻7 号 p. 647-652
    発行日: 1989/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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