日本家政学会誌
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嗜好飲料に対する好みの日韓民族間の相違
川染 節江黄 春仙
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1989 年 40 巻 9 号 p. 789-796

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抄録
日韓における日常的な嗜好飲料の好みを官能検査により検討した.試料は緑茶2種, 抹茶1種, 人蔘茶2種, 紅茶2種, コーヒー2種計9種である.各試料の「色のよさ, 香りの強さ, フレーバーの強さ, 味の好ましさ, あと味の好ましさ, 甘味の強さおよび総合的な好ましさ」について, 両極7段階尺度により日韓それぞれ30名の女性パネルにより評価させた結果, 次のような知見が得られた.
1) 3回実験をくり返したが, 3回の評点には有意差はみられなかったので, この間になれの効果は生じなかったと考えられる.
2) お互いに, なじみのうすい茶は好まれず, 嗜好飲料に対する好みは民族間に有意差が認められた.なじみのうすい茶は日本側では人蔘茶, 韓国側では緑茶であり, 抹茶は緑茶よりさらに好まれなかった.いずれの国でも, なじみのうすい嗜好飲料は, 色, 味, あと味ともに好まれず, とくに, 味およびあと味の好ましさの評点に大差がみられた.また, 両パネルとも, なじみのうすい茶の香りを「強すぎる」と評価する傾向があった.
3) 両パネルとも, お互いに外来品である紅茶とコーヒーを好み, 日本側が紅茶を韓国側よりいっそう好む傾向がみられた.コーヒー2種 (粉末クリーム添加および無添加) の両国のプロフィールは, 9試料中最も類似しており, 両パネルともクリームを添加したコーヒーをより好んだ.
4) 両国とも, 「総合的な好ましさ」と「色のよさ」, 「味の好ましさ」および「あと味の好ましさ」との間にそれぞれ有意な正の相関が認められ, 韓国側では「甘味の強さ」との間にも有意な正の相関が認められた.日本側では, 「香りの強さ」および「フレーバーの強さ」には有意な負の相関が認められた.
5) 人蔘茶, 紅茶, コーヒーに添加した砂糖量の3%の甘味に対し, 韓国側が「やや少なすぎる」と評価し, 日本側より甘味の強いほうを好んでいることがわかった.
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