日本家政学会誌
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クッキーの物性におよぼすドウミキシングの影響
倉賀野 妙子木村 宏樹和田 淑子
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1989 年 40 巻 9 号 p. 781-787

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抄録
1) ドウのミキシングは, クッキーの外観的性状, ならびにみかけの破断応力, 破断エネルギーに大きな影響をおよぼす.ミキシングが不足しても, 過度でも, 両破断特性値は大きく, spread factorは小さく, 厚みのある形状となる.とくに, 過度のミキシングでその影響が大きいのは, 重量減少率および電子顕微鏡写真の結果から, グルテンネットワークの発達によるものと考える.焼き広がりを大きく, やわらかくて砕けやすい物性とするには適正なレベルのミキシングを行うことが必要であり, 経験的にいわれる「粉っぽさのなくなる程度」では不十分と考える.
2) クッキーのspread factorとみかけの破断エネルギーの間には有意の相関が認められ, spread factorがクッキーのもろさを評価する一つの指標として有用であることが示唆された.
3) ドウの最大応力値, 応力緩和試験による弾性率, 粘性率の結果は, クッキーの破断特性値とよく対応し.ドウ物性値をコントロールすることが適正なミキシングレベルを把握することが可能である.
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