日本家政学会誌
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日中の実際の室内生活をシミュレートした条件下での2種の異なった型の衣服着用が中核温に与える影響
鄭 運仙登倉 尋實
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1990 年 41 巻 2 号 p. 143-148

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抄録
本研究は, 異なった2種の衣服を着用し四肢末梢部を異なって絶縁することが, 室内日常生活をシミュレートした実験条件で生活を送るヒトの中核温にどのように影響を与えるかを観察するために行われた.6人の健康な女子学生が被験者として奉仕した.実験室の温度は20~25℃, 相対湿度は50%に保たれた.被験者はType A (ほぼ体の全域を被覆する衣服, 911g), Type B (躯幹部, 上腕, 大腿を被覆する衣服, 631g) のいずれかを着用し, 安静, 歩行, 室温の変化の種々の条件下で午前10時30分より午後5時まで実験室で生活した.主要な知見が次のようにまとめられる.
1) 直腸温はトレッドミル上の30分間の歩行中, TypeBよりTypeAにおいて高く維持された.
2) 歩行後の回復時, 直腸温の下降速度は, TypeBよりTypeAで大きかった.
3) 室温が25℃から20℃へ下降したとき, 直腸温のレベルとその上昇速度はTypeAよりもTypeBにおいてそれぞれ高く, 大きかった.
これらの知見は厳密に規制した実験条件で得られたわれわれの従来の研究結果を確認するものであり, TypeAとTypeBの間で作用する異なった機構が日中の室内日常生活をシミュレートした実験条件でも有効であることを示唆している.
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© 社団法人日本家政学会
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