日本家政学会誌
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41 巻, 2 号
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  • 常秋 美作
    1990 年41 巻2 号 p. 93-101
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    伝統的な家庭会計観のもとでは, 財貨・用役の消費時点はそれらがあたかも購入支払の時点で消費され尽くしたかのごとくに認識される.これは一種の現金主義会計にほかならず, 期中の購入支払のすべてが必ずしも当該期の消費を意味するとは限らない.
    通常, 経済学の効用理論における「消費すること」とは財貨・用役によって欲求を充足することであり, この欲求充足感それ自体は「効用」と称せられる.もし, この考え方を家庭会計にも取り入れるならば, この場合の「消費」概念は期間計算上, 効用の実現に貢献した当該期の価値として設定されるべきる.
    したがって, 会計における「消費」を経済学のそれに概念的に同調させるためには, 発生主義が消費支出の認識基準に適用されねばならない.当然, このことは財産における正味価値の計算に深く関連し, 家庭管理に対しても, より有益な会計情報を提供するであろう.
  • グァバの性状および化学的成分について
    桂 正子
    1990 年41 巻2 号 p. 103-108
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    沖縄産グァバ4種 (沖縄在来種ピンク, ハワイ系ピンク, 台湾系白丸型および台湾系白洋梨型) について, ・品種間および部位別の性状, 化学的成分を比較し, また, ピューレの加熱温度別によるビタミンC含量について検討し, 加工処理への適応性について検討した.
    (1) 重量は沖縄在来種ピンクが小さく, 台湾系白洋梨型が大であった.硬度は0.67~1.60kg/cm2の範囲にあり, 完熟果実であったが, 酸度の高いものはハワイ系ピンクで加工に適し, ビタミンC含量の多いのは台湾系白丸型であり, 生で食するのに適している.ま牝, 糖の多い沖縄在来種ピンクも生で食するのに適している.
    (2) 部位別では, 総ビタミンC含量は果皮>果肉>果芯の順となっており, 種子および石細胞を除くすべてを加工処理に用いるほうがよい.
    (3) ピューレの加熱温度別では, ジャム加工の加熱温度の104℃で総ビタミンC含量は 79.44mg%で42.24%残存し, 加工処理しても, なおビタミンC供給源として有効と思われる.
  • 佐藤 一精, 錫武 美弥子
    1990 年41 巻2 号 p. 109-114
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    発酵乳中のビタミンB12の存在様式について, ラクトバシラス・ヘルベティカスB-1によるビタミンB12強化発酵乳を調製して検討した.発酵乳中から通常のKCN抽出法により回収されたビタミンB12は, 添加量の80%以下であった.添加したB12の約30%は, ラクトバシラス・ヘルベティカスB-1の菌体を含む発酵乳の沈澱部に存在した.また, 異なるpHでの電気泳動, 分光光度法ならびにエシェリヒア・コリ215を用いる微生物学的定量法と組み合わせたミクロ HPLC法によって検討した結果, 一部のB12がアデノシルB12に変換されていることが明らかとなった.
  • 韓 英淑, 河合 弘康
    1990 年41 巻2 号 p. 115-121
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    冷凍生地製パンにおいては, 生地解凍後の酵母生存率および発酵能の低下が問題であり, この点は冷凍耐性酵母の使用によって解決される.本研究では, 自然界から冷凍耐性酵母を検索し, そのパン生地発酵特性を検討した.麹汁を分離用培地として種々の試料から合計144株の発酵性酵母を分離し, そのうちD2-4, E2, F6, およびA2の4株が比較的高い冷凍耐性と生地膨脹力をもつことを明らかにした.それらの冷凍耐性率は70~92%で, いずれも一30℃で数日間貯蔵した前発酵冷凍生地で強い発酵能を示した.とくに, D2-4株は高糖生地中で最高の発酵力を示したが, 中種生地 (無糖生地) ではマルトース発酵能がないため発酵後期でのガス発生量が減少する傾向がみられた。DD2-4株を用いてつくった冷凍生地パンの品質はS.cerevisiae 2001のそれよりもすぐれていた.
  • パール状澱粉の調理に関する研究 (第2報)
    平尾 和子, 高橋 節子
    1990 年41 巻2 号 p. 123-132
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    前報において, パール状澱粉を調理する場合, 煮くずれせず, 芯がなく, しかも歯ごたえのある, 食感のよいパールを簡単に得る目的でタピオカパールの加熱方法を検討した.その結果, 水湯煎法とポット法が好まれる結果を得た.本報告では, これらの加熱方法を用いて「ゼリー」という調理法をとりあげ, 好ましいタピオカゼリーを得るための加熱時間, 砂糖の添加方法および冷蔵時間の影響をテクスチャー測定および官能評価から検討した.結果は次のとおりである.
    (1) 砂糖の添加方法は, 後添加のほうが芯が小さく, かたさや付着性は小さくて, 弾力のある好ましい物性のタピオカパールが得られた.
    (2) 冷蔵による影響では, 冷蔵時間が増すに従い, 直径, かたさは増加するが, 凝集性, 付着性は低下した.その変化は冷蔵2時間以上で大きく示された.
    (3) タピオカゼリーの官能評価から, 冷蔵時間は短いもののほうがより好まれる傾向を示した.加熱方法は, 水湯煎法では後添加2.5時間加熱, ポット法では後添加3.5時間加熱のものが好まれ, 物性値との対応が認められた.このことから, ゼリーは冷蔵してから短時間に供するほうがよいと考えられる.
  • 村山 篤子, 大迫 早苗, 川端 晶子
    1990 年41 巻2 号 p. 133-136
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ローカストビンガム添加によるκ-カラギーナンのゲルの離漿および物性変化について検討した.ゲル濃度はデザートゼリーに適する1%とし, κ-カラギーナンとローカストビンガムとの混合比を9 : 1, 8 : 2, 7 : 3, 6 : 4, 5 : 5, 4 : 6とした.さらに各ゲルに0.25~1%のKCl, NaClを添加しゲルを調製し, 試料とした.ゲルは常温 (25℃) に一昼夜保持後, 離漿率および物性測定を行った.
    物性値としての粘弾性係数, 破断特性値を算出した.ローカストビンガムの含有比が増加するとともに離漿率は減少した.KCI, NaCl添加ゲルではさらにいずれも減少したが, 1%KCl添加で最も顕著であった.破断歪みはローカストビンガム含有量が増すとともに著しく増大し, 破断応力は7 : 3混合ゲルを最高に順次減少した.KCl添加により破断歪みは著しく減少したが, 逆に破断応力は高い値を示し破断エネルギーは7 : 3, 6 : 4付近で最大となった.瞬間弾性率はローカストビンガムの増加に伴い減少した.ニュートン体の粘性率はKCl, NaClとも0.25%添加ゲルで混合比6 : 4までは順次増大し, さらにローカストビンガムが増すと減少した.両塩類1%添加によりともに増大したが, とくにKCl添加でいっそう顕著であった.以上の結果から, κ-カラギーナンゲルはローカストビンガムの混合比が増すと7 : 3および6 : 4混合ゲルを最大に, 弾力のあるしなやかなゲルになること, KCl添加によりこの傾向は減少すること, とくに1%KCl添加の影響は著しいことがわかった.
  • 島田 晶子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1990 年41 巻2 号 p. 137-142
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    固形食品の甘味の知覚は, ショ糖がさまざまな割合で固形食品に含まれているにもかかわらず, あまり研究されていない.味の知覚はテクスチャーや材料などにより影響されるが, 固形食品の甘味の知覚についての総合的な研究はない.本研究は, まず固形食品の甘味の知覚についての一般的な傾向を明らかにし, 次に知覚に影響する要因を知ることを目的とした.
    テクスチャー, 材料などを考慮して, キャンディー, メレンゲ, ようかん, チョコレート, クッキーを試料として選んだ.官能検査で知覚されたこれらの試料の甘味度は, ショ糖溶液の濃度で表して6.7~25.7%であり, 試料中のショ糖含量 (7.8~80%) にくらべて非常に小さかった.すなわち同濃度のショ糖溶液の甘味より低く感じられた.食するさいに咀しゃくを必要としない試科の甘味にはショ糖含量が, それ以外の試料にはかたさも影響した.また表面積の増加程度, 唾液量, 吸水量などの影響が示唆された.
  • 鄭 運仙, 登倉 尋實
    1990 年41 巻2 号 p. 143-148
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は, 異なった2種の衣服を着用し四肢末梢部を異なって絶縁することが, 室内日常生活をシミュレートした実験条件で生活を送るヒトの中核温にどのように影響を与えるかを観察するために行われた.6人の健康な女子学生が被験者として奉仕した.実験室の温度は20~25℃, 相対湿度は50%に保たれた.被験者はType A (ほぼ体の全域を被覆する衣服, 911g), Type B (躯幹部, 上腕, 大腿を被覆する衣服, 631g) のいずれかを着用し, 安静, 歩行, 室温の変化の種々の条件下で午前10時30分より午後5時まで実験室で生活した.主要な知見が次のようにまとめられる.
    1) 直腸温はトレッドミル上の30分間の歩行中, TypeBよりTypeAにおいて高く維持された.
    2) 歩行後の回復時, 直腸温の下降速度は, TypeBよりTypeAで大きかった.
    3) 室温が25℃から20℃へ下降したとき, 直腸温のレベルとその上昇速度はTypeAよりもTypeBにおいてそれぞれ高く, 大きかった.
    これらの知見は厳密に規制した実験条件で得られたわれわれの従来の研究結果を確認するものであり, TypeAとTypeBの間で作用する異なった機構が日中の室内日常生活をシミュレートした実験条件でも有効であることを示唆している.
  • 中野 迪代, 一棟 宏子
    1990 年41 巻2 号 p. 149-155
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    近年, 大都市の疎外感に疑問をもつ人々の間で, 自由な間取りとデザインが可能なコーポラティブ住宅づくりが推進されている.それらの中には, 新しいかたちの相互扶助関係をめざしたコミュニティも多い.本研究では, とくに, 都心での個性的生活を重視する「市街地立地型」と持家獲得を志向する「都市近郊立地型」コーポラティブ住宅に焦点をあて, 住宅づくりの目標や発展経過と建設計画の進め方, および入居後の生活の現状について両者を比較検討し, そのコミュニティの質のちがいを明らかにすることを目的としている.
    方法は, 大阪におけるコーポラティブ住宅居住世帯101件 (11プロジェクト) を対象とした事例研究で, 留置アンケート調査と面接調査結果の分析による.
    調査の結果, コーポラティブ住宅の竣工までに約2年の年月が費やされているが, その間に, 居住者は互いに意見を調整しながら協力体制をつくり, 強化していっている.しかしながら, 「市街地立地型」と「都市近郊立地型」コーポラティブ住宅では, 管理や意志決定の手順とその改善に対する考え方に相違がみられ, また日常のトラブルの対処のしかたにも違いが認められた.
  • 寺嶋 正彦
    1990 年41 巻2 号 p. 157-163
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 岸本 律子
    1990 年41 巻2 号 p. 165-169
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • -家庭はニューメディアの普及を望んでいるか-
    武長 脩行
    1990 年41 巻2 号 p. 171-175
    発行日: 1990/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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