-18~+10℃で28日間貯蔵したマイワシの, 鮮度と臭いとの関係について調べた.鮮度の判定は, K値の測定とトリメチルアミン窒素 (TMA-N) 量の定量によった.魚臭の分析は, 魚肉のヘッドスペース法による揮発性成分をガスクロマトグラフィー分析によって分析した.
その結果はつぎのとおりである.
(1) 貯蔵したマイワシのK値とTMA-N量による鮮度は, 貯蔵期間が長く, 温度の高いものほど悪くなった.
(2) 低温貯蔵中の揮発性成分の生成量は, 貯蔵期間が長く, 温度の高いものほど増加し, -18℃貯蔵と-3℃貯蔵ではその生成が抑制された.
(3) マイワシの鮮度低下初期の揮発性成分の主成分はプロピオンアルデヒドであり, 腐敗したものではエチルアルコールであった.
(4) マイワシの鮮度と揮発性成分との間には, 高い正の相関関係がみられた.