日本家政学会誌
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居住性からみた床スラブ振動に対する振動感覚と作業性能に関する実験的評価
石川 孝重中山 和美
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1990 年 41 巻 4 号 p. 341-349

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抄録

本研究は, 居住者の生活環境を整えるために, 振動感覚を決定する要因が何であるのか, その要因となる振動の物理的成分を分析するという二つの視点に基づいている.
振動感覚と作業性能との比較, および許容限界との比較から, 振動感覚を表現する物理的成分は, 振動数と加速度であいと考えられる.振動数は評価尺度によらず重要な成分であり, どの評価尺度で振動をとらえるのかによって加速度の影響度合が異なる.変位の影響は人間の感覚認知においても加速度に従属していると考えられ, 振動の暴露時間も本実験の範囲では感覚評価を左右する成分とはいえない.
居住者の振動感覚を評価するための尺度は, 単に床スラブの振動の感じ方の大小 (大きさ度合) を問うだけでなく, 居住環境の向上を目指すためにも, 居室の使用目的を考慮し, 振動を感じた不快度合で評価すべきである.とくに, 居住者がくつろいだり睡眠をともなう快適性が要求される環境では, 主観的な振動感覚評価をふまえて設計することが必要である.
今後は, 居住者の振動感覚を考慮した, 設計段階で有効な評価尺度を作成したいと計画している.

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