日本家政学会誌
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上腕部形態および腕付根部形状の把握
井上 尚子中保 淑子
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1990 年 41 巻 5 号 p. 427-436

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抄録

青年女子104名, 高齢女子46名の上腕部および腕付根部の身体計測値30項目に関して因子分析を行い, それぞれの上腕部形態および腕付根部形状の特性を明らかにした.そして, 形態および形状分類代表者の上腕部の体表面採取より得られた袖山線に相当する曲線の回帰分析を行い, この曲線の接線の傾きを個人別に検討し, 青年女子と高齢女子の差を明らかにした.
その結果は次のとおりである.
(1) 30項目の計測結果から, 高齢女子は青年女子と比較して, 上腕骨頭の中央の点から前腋点までの長さが長く, 69.6%の被検者において前腋点が後腋点より下方にあった。また, 後腋点位から腕付根下端位の長さが長く, 上腕最大囲位も下部にあることがわかった.
(2) 因子分析の結果, 計測項目を7因子に分類することができた.同一因子に含まれる項日は, 青半女子と高齢女子とは, ほぼ類似しており, 上腕部の周径, 腋点を境とした上下における上腕部の縦方向の長さ, 腕付根部の前方向, 後方向の幅と長さであり, それぞれの形態的, 形状的特性に寄与していることがわかった.
(3) 青年女子と高齢女子における袖山線に相当する曲線の傾きは, 上腕骨頭周辺および後腋点を原点としたときのB~Eの傾きに有意差が認められた.これは計測結果と一致する.
(4) 袖山線に相当する曲線の傾きには, 上腕部形態と腕付根部形状とが関係していることが明らかになった.おわりに, 被検者としてご協力してくださった方々に感謝いたします.

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