日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
タケノコよりシュウ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム溶液で抽出したペクチン性多糖の性質について
渕上 倫子
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 42 巻 3 号 p. 231-239

詳細
抄録
タケノコ (単子葉植物) が加熱により軟化しにくい原因を解明する目的で, タケノコのペクチン性多糖をシュウ酸ナトリウム溶液で抽出し, ダイコン (双子葉植物), アスパラガス (単子葉植物) との比較を行った.ダイコン/アスパラガスはシュウ酸ナトリウム溶液 (pH4.0) 中で1時間加熱すると軟化したが, タケノコは1時間加熱を10回繰り返した後でも, 軟化は不十分であった.さらに, 0.1N水酸化ナトリウム溶液に室温で1日浸漬してはじめて軟化した.タケノコのペクチン性多糖はダイコン, アスパラガスと比べて少量であり, 中性糖の割合が多かった.これらの野菜のペクチン性多糖のDEAE-セルロースカラムクロマトグラムはおのおの異なった.タケノコのペクチン性多糖をシュウ酸ナトリウム溶液で抽出後, 0.1N水酸化ナトリウム溶液中に室温で1日浸漬後, 浸漬液をpH4にすると, ガラクチュロン酸を多く含む多糖が沈殿した.このペクチン性多糖はキシロースを比較的多く含んでいた.タケノコが軟化しにくいのは, シュウ酸ナトリウム溶液で抽出しにくいペクチン性多糖を含むためと思われる.
著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top