日本家政学会誌
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リンゴ浸漬液より分離した発酵性細菌 (Enterobacter cloacae GAO) の 諸性質
長野 宏子大森 正司矢野 とし子庄司 善哉西浦 孝輝荒井 基夫
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1992 年 43 巻 5 号 p. 389-393

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抄録

植物由来のEnterobacter cloacae GAO と, 腸由来のE.cloacae IAM 12349, E.coli IAM 12119 との簡易判別法開発のための検討を行った.
(1) E.cloacae GAO の生育はグルコース, アスパラギンを含むG培地にリンゴジュースを添加すると約2倍に, カザミノ酸を添加すると約3倍に促進された.
(2) GAO の炭素源としてはリンゴジュース中に存在するブドウ糖とショ糖がIAM 12349に比べよく資化された.セロビオース, リボースがよく資化されており, 特にキシロースはIAM 12349ではごくわずかな資化性であるが, GAOではよく資化された.
(3) GAO は, pH4から10までの広い範囲で生育が可能であり, E.coli はpH7以下, pH10では生育せず, またGAO はエスクリン分解陽性であったが, IAM12349, E.coli は陰性であり相違が明らかであった.
以上の結果より簡易判別法になりうるものであった.

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