日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
生薬オリゴジャムの品質特性について
篠原 寿子田畑 武夫
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 43 巻 5 号 p. 395-400

詳細
抄録
4種類の果実系の生薬とオリゴ糖を用い生薬オリゴジャムを調製し, 保存性及び食味嗜好性等の品質特性について, 相互に比較検討した.
(1) 生薬オリゴジャムは, その含有するオリゴ糖の安定性を保持するため調製工程ではpHをあまり下げず, pH4, 0~4.2の範囲で比較的短時間の加熱で仕上げ, また調製した生薬オリゴジャムも5~10℃で冷蔵保存した.
(2) 大秦ジャム中のフラクトオリゴ糖含量は, 粉末オリゴ糖を使用したもので43%, 液体オリゴ糖を使用したもので26.4%の含有であった.
(3) ジャム中の還元糖量は, 保存日数の経過とともに増加した.なかでも, 山茱萸オリゴジャムは還元糖量の経日変化が顕著であり, オリゴ糖の加水分解が促進されていると考える.
(4) 保存期間中のジャムについては, 一般生菌数, 大腸菌群数, カビ数とも4ヵ月経過後も検出されず, 異常は認められなかった.
(5) 生薬オリゴジャムを経口摂取した際の血糖量の経時変化は, ショ糖ジャムに比べ低い値を示した.
(6) 食味嗜好姓において, 大棗および枸杞子オリゴジャムは, 対照のショ糖ジャムとの間に有意差はなく, 高い嗜好性を示した.しかし, 山茱萸ジャムについてはショ糖ジャムの方が好まれた.
著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top