抄録
上半身衣の着衣状態でのゆるみ率と間隙量ならびにシルエットとの関係を明らかにすることを目的として基礎実験を行った.一般に使用されている実験衣14種類の着衣形態について, 形態描画器により横断面形状を採取すると同時に, シルエッター写真撮影を行った。実験衣の横断面形状や間隙量, シルエットを定量的に求めて次の結果を得た.
(1) 間隙量は支持部に少なく, 垂下部に多い特徴をもち, また位置によって特徴ある様相を呈する.ゆるみ率小の0%や5%では, 分割数が多い実験衣のほうが測定点での間隙量は少ない.
(2) 実験衣のゆるみ率が多くなると間隙量も多くなるが, バストでの間隙量合計はY=27.42X+182.69の回帰式でゆるみ率より求められる.
(3) 実験衣の総面積に対し, 各面のシルエットは, 後面が約40%, 前面が約36%, 側面が約20%をしめる.
(4) ボディの横径を1とするならば, 各実験衣の前後横径は1~1.4倍の範囲に, 側面矢状径は1~1.2倍の範囲に認められる.
(5) ゆるみ率が多くなると前後側面のシルエットは大となり, バストでの前面シルエットはY=5.04X+296.74の回帰式によりバストのゆるみ率から推定可能である.