環境温度30℃の下で, RM.R1の作業を行い, 環境相対湿度50%と80%の変化と4種の被服着装形態が, 被服内絶対湿度や上腕部皮膚温に及ぼす影響について, 要約して以下に示す.
(1) 被服内絶対湿度に及ぼす影響
(1) 環境相対湿度80%の場合, 被服内絶対湿度の経時変動量としての上昇は多く, 50%の場合との相互間に, 危険率1%の有意差が確認された.
(2) 被服着装形態による影響は, 衿の開・閉において, 閉ざされている場合, 被服内絶対湿度は高く, 危険率1%の有意差が確認された.
(3) 衿の開・閉と袖の長・短の交互作用において, 危険率5%の有意差が確認された.すなわち, 環境相対湿度80%の暴露下で, 上向開口が閉ざされていると, 半袖により水平開口から浸入した湿気の透過が悪く, そこに人体からの蒸泄も加わって, 胸部被服内絶対湿度の経時変動量は最も増加した.主観評価にもこの傾向はみられた.
(2) 上腕部皮膚温に及ぼす影響
(1) 環境相対湿度の因子に対して, 有意差は確認されなかった.
(2) 被服着装形態による影響は, 袖の長・短において, 被覆面積の大きい長袖は, 上腕部皮膚温が高く, 危険率1%の有意差が確認された.
(3) 環境相対湿度, 袖の長・短, 衿の開・閉, 経時変動量の交互作用で, 危険率1%の有意差が確認された.すなわち, 環境相対湿度80%の暴露下で, 半袖により水平開口が開いている場合, 上向開口が閉ざされていると, 上腕部皮膚温の経時変動量が増加し, 放熱をはかっていると推察された.
(3) 環境相対湿度80%の暴露下で, ワイシャツにネクタイを着装して半袖の場合, 上腕部皮膚温と被服内絶対湿度との経時変動量の相関は, 有意に確認された.