日本家政学会誌
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脱脂乳へのアミノ酸添加が乳酸菌の酸生成に及ぼす効果
中嶋 昭正
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1996 年 47 巻 11 号 p. 1085-1091

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抄録
脱脂乳に添加した各種アミノ酸の乳酸菌の酸生成に及ぼす効果について検討した.
Loctobacillus 9菌株, Lactococcus 2菌株, Streptococcus 1菌株について, アミノ酸を脱脂乳100mlに50mg添加して, 次の結果を得た.
(1) 酸生成を促進するアミノ酸, 阻害するアミノ酸, 影響を与えないアミノ酸は各菌株によって, それぞれ異なった.また, 同じアミノ酸が菌株が異なると促進することも阻害することもあった.
(2) L-システイン, L-シスチンはLactobacillus 9菌株の酸生成を促進したが, 1菌株は阻害した.グリシンはLaaobacillusの4菌株を促進したが, 1菌株は著しく阻害した.
(3) そのほか, L-リジン, L-ヒスチジンなど数種類のアミノ酸が菌株によっては促進効果を示した.
(4) 酸生成を全体的に阻害する傾向があるアミノ酸は, L-アスパラギン酸, L-イソロイシン, L-ロイシン, L-メチオニンであった.また, L-アラニン, L-グルタミン酸, L-セリンほか数種類のアミノ酸が菌株によっては阻害効果を示した.
(5) 結局, 供試した12菌株中Lactococcusの2菌株以外の10菌株の酸生成は, それぞれ1種あるいは数種類のアミノ酸で促進された.また, Lactobacillusの2菌株以外の10菌株は1種あるいは数種類のアミノ酸で阻害された.
本報告の大要は平成元年度第41回日本家政学会大会 (東京) で発表した.
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