日本家政学会誌
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パンクレアチンまたはジアスターゼで前処理した米の長期投与がストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットに与えた影響
田尻 尚士東野 英明鈴木 有朋
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1997 年 48 巻 12 号 p. 1063-1070

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抄録
酵素であらかじめ処理した米は, ラットの生長に影響することなく素早く吸収され, 脂質に変換代謝されることを前回の実験で明らかにした.その興味ある結果から, 代謝の面で欠陥を持った糖尿病ラットを用いて同様の実験を試みたところ, 次のような結果と推論を得た.パンクレアチンやジアスターゼで前処理した米を投与されたラットの血糖値は非処理米群より低くならず, ジアスターゼで処理した米を食したラットのフルクトサミン値は非処理米群よりむしろ高値であった.したがって, 処理米投与群で白内障の進展が抑制される傾向が見られたものの, 糖尿病ラットにとって酵素処理米は決して適した飼料ではなかった.しかし, その優れた易吸収性から高齢者や, スポーツ選手や, 消化器または消耗性疾患患者にとって適した食物になるのではないかと思えた.
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