日本家政学会誌
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第一線で活躍する家政系出身者から 3
家政学と心理臨床-私の体験から-
鈴木 宏子
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1997 年 48 巻 6 号 p. 555-556

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抄録
「この子, 私があやしても笑わないんです」と不安そうに訴える若い母親.赤ちゃんの抱き方さえ覚束い.夜泣きがひどくて眠れないし, とても育ててゆく自信がないと暗い表情で話す母親の手から赤ちゃんを受けとり, あやしながらその辛さを聴いてゆく.
私は, このような様々な悩みを持つ母親や子ども達の, 心理相談や心理治療などを行う, 心理臨床の仕事をしている.この仕事は, 人間の心の問題を扱い, 時にはその人の人生に関わってくる場合もあり, 大変責任は重く, 悩むことも多い.しかし相談を続けてゆくうちに, 暗い表情だった人が, 明るく自信に満ちた母親へと成長してゆく過程を見ることもできる.私にとっては, 大変やりがいのあるすばらしい仕事であり, 今では, 自分の生きがいともなっている.
しかし実は, 私自身, 子どもの頃には想像もしていなかった姿なのである.
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