日本家政学会誌
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48 巻, 6 号
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  • 生涯収入の算定
    田崎 裕美, 村尾 勇之
    1997 年48 巻6 号 p. 475-483
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In this study, we calculated the lifelong incomes as seen from employment forms of wives. The lifelong income consists of salary, retirement allowance and old-age pension. In distinction of academic background, employment forms of wives were classified into four patterns, which were housewife, part-timer, re-employed full-timer and full-timer.
    The results were as follows :
    1) In the case of a husband whose wife was a full-timer, his lifelong income decreased from 4 to 5 % with the spouse allowance and other benefits lost.
    2) In terms of the economic effect of wive's employment forms, re-employed full-timers showed the highest effect to lifelong incomes. It was also found that the economic effect of the same employment forms of wives depended on the wage differences brought about by the levels of academic background.
    3) In studying the lifelong incomes of respective households, we found that wives who worked full-time contributed no more than 55 % increase to the total household incomes even in households where both husbands and wives were college graduates. This is due to the difference of wage, i.e., less wage paid to the feminine gender.
  • 桐渕 壽子, 辻 悦子
    1997 年48 巻6 号 p. 485-490
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR) を用いて高コレステロール食に5%エノキタケ粉末を含む飼料を投与した場合, 次の結果が得られた.
    (1) 血圧は高レベルのまま推移し, 全く低下は認められなかった.
    (2) 血中コレステロールおよび中性脂肪の上昇抑制作用は認められなかった.
    (3) 肝臓コレステロールおよび中性脂肪の上昇抑制作用は顕著であった.
    (4) 体重および肝重量の増加も抑制された.また腎周辺の脂肪の蓄積もなかった.
  • 中嶋 昭正
    1997 年48 巻6 号 p. 491-499
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    (1) 脱脂乳に添加したアオノリ, アマノリ, コンブ, クロレラ水抽出液が, Lactohacillus casei YIT-9018 の酸生成に及ぼす効果について検討したところ, アオノリにクロレラと同程度の酸生成促進効果が認められた.
    (2) アオノリ水抽出液中の L. casei YIT-9018 に対する酸生成促進物質は, Sephadex G-50, G-15 ゲル濾過で, 糖および核酸関連物質の一部と, アミノ酸, ペプチドが溶出する画分に溶出した.
    また, アオノリ水抽出液の酸生成促進物質の大部分は Dowex 50-X8 に吸着された. この樹脂に糖は吸着されず, 核酸関連物質は一部しか吸着されなかった.この樹脂でのイオン交換クロマトグラフィによって, 酸生成促進物質とアミノ酸, ペプチドとは分離された.
    (3) アオノリ, アオサ水抽出液の灰化物に, L.casei YIT-9018, L. casei subsp. casei S-1 に対する酸生成促進物質がかなり残存した. 灰化物の Mn 含量からみて, Mn がアオノリ, アオサの酸生成促進物質の一つであることが明らかになった.
    また, アオノリ, アオサ 8 標品の酸生成量と Mn 含量の対数値の問に直線関係があり, その相関は強かった. アオサの方が Mn 含量が多く, 酸生成促進効果が大きかった.
    (4) L. casei subsp. casei S-1 では, アオノリ, アオサ水抽出液の灰化物の酸生成促進効果が水抽出液よりもかなり少なかった. したがって, この菌株に対しては Mn のほかに, 有機質の酸生成促進物質の存在が示唆される.
    (5) そのほか, アオノリ, アオサ水抽出液は, L.delbrueckii subsp. bulgaricus B-5b, L. acidophilus L-54, L. casei subsp. casei L-14, L. paracasei subsp.paracasei IFO-3533, L. Paracasei subsp. paracasei S-2の酸生成を著しく促進したが, L. helveticus B-1, L.delhrueckii subsp. bulgaricus IFO-13953 の酸生成をかなり阻害した.
    Lactococcus lactis subsp. lactis 527, Lactococcus lactis subsp. cremoris H-61, Str. salivarius subsp.thermophilus 510 には影響が少なかった.
  • 粟津原 理恵, 河村 フジ子
    1997 年48 巻6 号 p. 501-507
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    (1) 塩, 未変性 WPI ゾルとアルカリ処理ゼラチンゾルを混合してpHを調整した後, 90℃ で 10 分間保持する混合法を用いてゲルを調製した場合, pH の上昇に伴いみかけの破断応力が高くなった. 同混合法において酸処理ゼラチンを用いた場合では pH 3.5, 4.5にピークがみられた.
    (2) WPI アルカリ処理ゼラチン混合ゾルに対し, 0.1N 塩化カルシウム, 塩化マグネシウムを 1% 以上添加することにより, 加熱温度の上昇に伴い透明度が低下し, 不均一なゲル化による沈殿が起こった. 0.1N塩化ナトリウム, クエン酸ナトリウム添加では, 濃度, 加熱温度の上昇に伴い透明度の低下がみられたが, 不均一なゲル化による沈殿は起こらなかった. リン酸水素ナトリウム, 炭酸水素ナトリウムの添加ではいずれの濃度, 加熱条件においても透明度の低下がみられなかった.
    (3) クエン酸ナトリウム添加 WPI-アルカリ処理ゼラチン混合ゾルは, 80℃ 以上で, 高分子の凝集体の形成が起こり, 90℃-10 分間の加熱条件ではさらに, 凝集体の形成が促進された.
    (4) 塩添加 WPI-アルカリ処理ゼラチン混合ゲルは, 塩化カルシウム, 塩化ナトリウム, クエン酸ナトリウム添加の順にみかけの破断応力値が高く, 結合水の多いゲルとなった.
  • 蒲谷 裕美, 河村 フジ子
    1997 年48 巻6 号 p. 509-514
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ゾルの特性に影響を与える加熱条件の違い, また副材料添加米粉ゾルの特性について検討してきた結果を要約するとつぎのとおりである.
    (1) 手動攪拌加熱において, 上新粉ゾルは 90℃ で, 白玉粉ゾルは 80℃ で最高粘度に達し, チキソトロピー性が大となった.
    (2) 牛乳添加上新粉ゾルは高い粘性を示すが, カゼイン, WPI, バター添加上新粉ゾルはいずれも低い粘性を示した. 一方, カゼイン +CaCl2 添加ゾルは高い粘性を示した.
    (3) 白玉粉ゾルにおいては副材料添加の影響は些少であった.
    (4) 牛乳, カゼイン, WPI, バター添加上新粉ゾルは粒子の膨潤糊化が阻害され, 酵素による分解率は低下した.
    (5) 上新粉に WPI を添加して加熱した場合, 分子量は高分子側に移動した.
    なお, 本報の概要は, 日本家政学会第 46 回大会において発表したことを付記する.
  • 勢田 二郎, 中村 幸子, 西村 太良
    1997 年48 巻6 号 p. 515-521
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The absorptive coefficiency (uptake) of water and several kinds of alcohol was examined after piling towels in a stack using the Larose Method measured with a laser scanning micrometer. This uptake profile was approximately expressed by the same differential equation as the diffusion equation. Using this method, uptake coefficients of β and α were obtained along the vertical and parallel directions to the plane of cloth respectively. The magnitude of these coefficients is a measure of liquid absorbency.
    As the number of towels in the stack increased, so did the value of β ; however, that of α remained almost constant. Equilibrium uptake was unrelated to the kind of liquid used, and the value decreased. When compared with the same number of towels in the stack, the value of β increased with the lowering of the viscosity of the liquid, but the relationship with a could not be clearly observed. These results were discussed using Poiseuille's law.
  • 大川 由子, 稲垣 勝彦, 河内 光義
    1997 年48 巻6 号 p. 523-529
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    A comparison between the shapes of the sleeve cap lines of several basic patterns and developed curves of model sleeves is attempted. The model sleeves are made to match arbitrarily chosen shapes of arm holes of basic patterns.
    The results are :
    1) The sleeve cap lines of basic patterns are based on plane development of diagonally cut cylinders.
    2) By this simulation, it is found that 4 out of 20 sleeve patterns have the 3-dimensional shapes of the sleeves which correspond to the model sleeve cap lines.
    Therefore, by using this simulation and given the shape of the arm hole and the angle between the limb and the side of a sleeve pattern arbitrarily, the sleeve cap lines which have similar configurations as these 4 patterns can be obtained.
  • 猪又 美栄子, 中村 亜矢子
    1997 年48 巻6 号 p. 531-537
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    加齢により手指の巧緻性や運動機能性が低下した高齢者にとって衣服の着脱は容易ではなく, 特にボタンのかけはずしがしにくくなることが指摘されている.
    高齢者が着脱しやすい衣服を設計することを目的として, 袖口ボタンのかけやすさについて高齢女子と20 歳代女子を対象に着用実験を行った. 主な結果は次のとおりであった.
    (1) 前ボタンおよび袖口ボタンについて, 高齢女子と20歳代女子のボタンのかけはずし動作の時間を比較すると, ボタンかけとボタンはずしの両方とも高齢者の方が長くかかった.特に, 袖口ボタンをかける時間の加齢による変化が大きかった.
    (2) 袖口ボタンをかける時間について分散分析をしたところ, 20 歳代女子では袖丈, 個人差の 2 要因ともに有意となった. 高齢女子では個人差のみ有意となり, その寄与率は 65.1% と大きかった. 高齢者を年齢グループに分けて分散分析し検討したところ, 袖口ボタンのかけ動作の時間の個人差は 70 歳代で大きく, 80歳代では 70 歳代と比較して個人差は小さく, 平均値は大きかった.したがって今回の実験範囲では, 70歳代で, ボタンかけ動作が大きく変化するのではないかと推測された.
    (3) 20 歳代女子と高齢女子では袖口ボタンかけの動作が異なっていた.その方法は2通り観察されたが, いずれも袖口ボタンを固定し, 安定させてからボタンをかけていた.加齢により袖口ボタンかけ時間が増加する原因の一つとして, ボタンを固定するという動作が加わわるためという興味深い結果が得られた.また, 20歳代女子の場合には手くび点までの長さの袖丈の袖口ボタンをかける時間が短いという予測した結果が得られたが, 高齢者では異なる結果であったのは袖口ボタンを固定するという動作が加わったためと考えられる.
  • 阪神大震災被災者の衣生活行動 (第 1 報)
    大村 知子, 木岡 悦子, 森 由紀
    1997 年48 巻6 号 p. 539-549
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    阪神大震災の被災者の衣生活行動の経時変化を追跡的に調査することによって, 実態の記録と災害など非常時の着装行動に対する危機管理に関する基礎資料を得て, 衣生活への備え方を探求することを目的として, 被災後の着装行動に関する考察を試みた.
    資料は, アンケート形式による質問紙調査を 1995年 7 月に女性被災者 204 名を対象に, さらに追跡調査を第 1 回の調査対象者から無作為に 104 名を抽出し, 1996 年 1 月に実施して得た.
    主な結果は以下に示すとおりであった.
    (1) 避難時の服装は, 被災程度の大きい地域ほどねまきなど発生時のままで, しかも裸足で避難した例が多く, 着がえてから避難した者は全体の約 3 分の 1 だった. 寒中の早朝に, 着の身着のまま, コートあるいはセーターなどを加えただけで, 靴も履かずに避難したことが明らかにされた.
    (2) 履物は, 当日は被害が大きいほど, 裸足やスリッパの利用がみられるなど, 地震発生時間と日本の居住様式による影響が認められた.その後の経時変化は, ライフラインの復旧の進展との関わりが顕著で, 被災の1カ月後は運動靴が過半数であったのに対し, 6 カ月以降は運動靴は 20% 以下となって, 歩きやすい靴に, 次いでヒールの高いおしゃれの要素のある靴が増した.
    (3) 自宅の庭・車中などで着がえたなど, 非常時の着脱行動の特徴がみられ, 1 週間以上着がえられなかった例が 5.3% あった. 衣生活に関わる救援活動システムや情報伝達方法に, 多くの課題があることがわかった.
    (4) 寝る時の服装の経時変化では, 寝衣を着た者は被災当日の夜が前夜の 28% (47 人), その後も日常着のままが多く, 1カ月後でも寝衣の着用は 53.9% で, 6カ月後にようやく震災前に回復した. 年齢層や性別による違いがみられ, 男性の高齢者の回復が最も遅かった.
    (5) 寝具は, 居住環境が劣る被災者ほど, 1 カ月以上も毛布のみで過ごした者が多く, 心身の健康を損なう二次災害の 1 要因になったといえる.
    (6) 6カ月以後の衣生活意識では, 75% がおしゃれに関心を持ち, 63.7% の被災者が着たい服装色が直後とは変化し, 1 年後では明るい色, 暖かい色・鮮やかな色を着たい者が多かった. しかし, 灰色など目立たない色を選ぶようになった者もあり, 装いの心が復活する傾向が強い反面, 震災によって着装意識が変化した者もみられた.
    以上の結果から, 緊急時への危機管理に関しては, 日常生活の延長上に非日常の生活があることを認識することが重要であり, わが国においては都市型の衣生活に対する危機管理を検討する必要性がわかった.サバイバルスキルの教育, 危機管理の教育の必要性とこられの早期実践の重要性を提言した.
  • 「家庭科教育の活性化に向けて」シリーズを終えて-家庭科教育の現代的課題と家政学-
    中間 美砂子
    1997 年48 巻6 号 p. 551-553
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1989年, 家庭科が小・中・高を通して男女で共に学ぶ教科として位置づけられて以来, 家政学会においても, 家庭科教育学会においても, 家庭科のあり方について数多くの議論が重ねられてきた.中央教育審議会の審議のまとめが出され, 教育課程審議会が発足した今日, 教育課程の次期改訂が大きな課題となってきている.このような時期に本シリーズが企画されたことは時宜を得たものといえる.座談会にはじまり, 16人の家政学関連の方々からそれぞれ専門の立場で家庭科教育の現代的課題について論じていただいた.これらに対して家庭科教育の立場からは, 高部和子氏よりコメントをいただくことができ, これからの家庭科教育発展に大きな示唆を得ることができた.
    以下, 本企画を通して論じられた事を中心に, 家庭科教育の現代的課題に家政学がどう迫ればよいかについて考察を進めたい.
  • 家庭科教育の立場から
    高部 和子
    1997 年48 巻6 号 p. 554
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 家政学と心理臨床-私の体験から-
    鈴木 宏子
    1997 年48 巻6 号 p. 555-556
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    「この子, 私があやしても笑わないんです」と不安そうに訴える若い母親.赤ちゃんの抱き方さえ覚束い.夜泣きがひどくて眠れないし, とても育ててゆく自信がないと暗い表情で話す母親の手から赤ちゃんを受けとり, あやしながらその辛さを聴いてゆく.
    私は, このような様々な悩みを持つ母親や子ども達の, 心理相談や心理治療などを行う, 心理臨床の仕事をしている.この仕事は, 人間の心の問題を扱い, 時にはその人の人生に関わってくる場合もあり, 大変責任は重く, 悩むことも多い.しかし相談を続けてゆくうちに, 暗い表情だった人が, 明るく自信に満ちた母親へと成長してゆく過程を見ることもできる.私にとっては, 大変やりがいのあるすばらしい仕事であり, 今では, 自分の生きがいともなっている.
    しかし実は, 私自身, 子どもの頃には想像もしていなかった姿なのである.
  • 河野 一世
    1997 年48 巻6 号 p. 557-558
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年48 巻6 号 p. 573
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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