日本家政学会誌
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小麦粉発酵性細菌Entmbacter cloacaeGAOにおける乳酸脱水素酵素 (LDH) の精製とその特徴について
田村 朝子長野 宏子大森 正司庄司 善哉荒井 基夫
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1997 年 48 巻 7 号 p. 583-588

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抄録
小麦粉発酵性細菌であるE. cloacae GAOの培養液の有機酸分析を行ったところ, 乳酸, ギ酸が生成してくることが明らかとなった. このことから, Ecloacae GAOの水素ガス生成系に乳酸脱水素酵素 (LDH) が関与していることが推測された.本研究では, E.cloacae GAO から乳酸脱水素酵素 (LDH) の精製を行い, その特徴を明らかとした.その結果, 酵素の最終収率は 4.6% で, その時比活性は 48.5 倍に上昇し, 電気泳動とゲルろ過の結果, 分子量は 115,000 (31,000 の 4 量体) と推定され, Es. coli B (Tarmy and Kaplan 1968) と同一の分子量であった.本酵素はD-乳酸脱水素酵素 (D-LDH) で, Es. coli B のものと同じタイプのものであった.また, 至適反応 pH は7.5 で, 至適反応温度は 30℃, 酵素活性は pH 7.0 ~9.0 の範囲と 40℃ まで安定であった.金属イオンについては, Gu2+, Mn2+ で大きく活性が阻害された.さらに本酵素のアミノ酸組成では, グルタミン酸が最も多く含まれていることが明らかとなった.
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