日本家政学会誌
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キウイフルーツのコラゲナーゼの精製と性質
堤 ちはる永弘 悦子田中 初美中島 史絵吉中 哲子
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1998 年 49 巻 1 号 p. 5-14

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抄録

キウイフルーツ果汁中のコラゲナーゼ活性の存在を新たに明らかにし, さらにその精製を行い, その生化学的性質について検討し, 以下のような結果を得た.
(1) 粗抽出液の活性は果肉部にあり, 至適pHは5.0, 至適温度は60℃であった.このことから, 加熱調理の初期の段階で本酵素は強く作用するものと思われた.
(2) 粗抽出液を-20℃で1カ月冷凍保存しても安定であり, 調製直後のものの約89%の活性が保持されていた.
(3) 粗抽出液のコラゲナーゼ活性は新鮮重量あたり, いちじく, パパイヤ, 生姜, マンゴーより高く, パイナップルより低かった.
(4) ゲルろ過クロマトグラフィーの溶出位置から, 本酵素の分子量は約52kDaと推定された.精製酵素のSDS-PAGEでは約60kDaの位置にコラゲナーゼ活性を有する単一バンドが検出された.
(5) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, 100mM のEDTAの添加によって著明な減少は認められなかった.
(6) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, HgCl2により阻害され, システインによりその阻害は回復した.このことからSH酵素であることが考えられた.
(7) 精製酵素はプロテアーゼ活性を示さなかった.
(8) キウイフルーツ1個あたり最低量138μgのコラゲナーゼが含まれていた.

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