日本家政学会誌
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口腔内での粒子感覚と食品物性との関係
粒子の認知と粒度の識別を中心として
今井 悦子畠山 美穂中村 紀野畑江 敬子島田 淳子
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1999 年 50 巻 12 号 p. 1233-1243

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抄録

19種類の物性の異なる材料を用い, 粒としての認知可能な最小粒度 (認知閾値) と粒度の識別の程度を官能検査により明らかにし, 物性値との関係を明らかにした.認知閾値はセルロースの51μmから道明寺粉の220μmまでの間に分布した.また粒度が約1.19倍異なる二つの粒子の粒度の識別は全材料がある粒度以上で識別できた.そのある粒度 (識別最小粒度) は材料により異なり, セルロースの124μmが最小でそばの482μmが最大であった.しいたけを除いては, すべて認知閾値<識別最小粒度であった.両粒度と各物性値との関係を検討した結果, 比較的強固な構造をもち, 吸水が緩慢で飽和吸水量も少ないような材料は, 両粒度が小さいことが明らかになった.またそのような材料ほど粒度の識別なできなくなってもまだ1粒1粒の認知はできると考えられた.認知閾値は, 非常に高い重相関係数をもって (R=0.93), 七つの物性値を用いた重回帰式で表すことができた.

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