総合健診
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大会講演
日本総合健診医学会 第39回大会・教育講演3
健診で循環器疾患を予防できるか
久代 登志男
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2011 年 38 巻 5 号 p. 600-606

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抄録
 循環器疾患の予防は、健診の場において若中年期からの心臓血管系疾患危険因子の評価と、生活習慣修正を含めた指導を充実させれば相当に可能である。高齢者心不全と認知機能低下を予防することは、後半の人生を健やかに過ごすための要件である。心不全の半数を占める左室拡張機能不全と脳梗塞の予防には若中年期からの血圧管理が重要である。収縮機能不全の予防には、虚血性心疾患の一次予防が必要で、血圧管理と併せてコレステロールを含めた代謝異常など通常の危険因子改善が有効である。しかし、動脈硬化性疾患の一次予防は、受診者と健診施設の双方に地道な努力が求められ、結果が出るのは数十年先になるので、敬遠されがちである。総合健診、人間ドックによる任意型健診システムは、日本が世界のリーダーである。全国の健診施設が協力して受診者の予後を含めた悉皆的で信頼性の高いデータベースを構築し、世界に向けて健診の有用性を発信できるかが問われている。循環器健診は、そのための試金石である。
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© 2011 一般社団法人 日本総合健診医学会
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