総合健診
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総合健診とテクノロジー
CT colonographyによる大腸がん検診の可能性
今井 裕市川 珠紀川田 秀一飯沼 元三宅 基隆杉野 吉則
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キーワード: CT colonography, 大腸がん, 検診, CAD
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 40 巻 2 号 p. 266-273

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抄録
 近年、CT装置やワークステーションの進歩、前処置法の改良、炭酸ガス自動注入器の認可によりCT colonographyは、急速に普及している。前処置法には、従来のX線注腸造影検査や内視鏡検査に用いられている方法のほかに、陽性の造影剤を食事と一緒に摂取し、腸管内容物を高吸収域にするfecal taggingにより、病変と便塊を識別することが可能になった。さらに、腸管内容物を高吸収域にすることにより電子的に腸管内容物を抽出して除去することも可能で、デジタル前処置と呼ばれている。画像表示には、多くの種類が用いられている。それには2次元の断面像で示すMPR(multi-planar reformation)、X線注腸像に似ている腸管輪郭のみを示す画像(air image やsolid image)、内腔表示や仮想内視鏡像(virtual endoscopy)、腸管を切り開いて表示する展開像(dissecting image やvirtual gross pathology)、さらに内腔表示にMPR画像を貼り付けた画像などがある。読影には、それぞれの画像表示の特徴を良く理解し、組み合わせて診断する必要がある。また、最近ではCAD(computer aided diagnosis)を用いた大腸がんやポリープの検出能の検討も行われている。著者らの成績では、CADにより隆起型腫瘍は100%検出可能であるのに対し、表面型腫瘍での検出率はまだ低い。これからのCT colonographyの課題は、いかに表面型病変を検出できるかにある。
 大腸がん検診のための検査法としてCT colonographyは、①検査処理能力に優れており、他の検査法よりも短時間に多くの検査を実施できる。②画像データには客観性があり、撮影者の技量や経験等に検査の質は影響しない。したがって、検査法も標準化しやすい。③前処置も必ずしも完全な腸管洗浄を必要としない。④読影には経験が必要であるが、デジタル画像であるためCADを活用することができる。⑤検査自体の安全性が高いなどの利点がある。したがって今後は、これらの有用性を大腸がん検診にも積極的に活用すべきである。そして少なくとも、CT colonographyは大腸がん検診における二次検診の未受診者を減らすことができるかもしれない。
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© 2013 一般社団法人 日本総合健診医学会
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