総合健診
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40 巻 , 2 号
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原著
  • 澤村 貫太, 岡本 永佳, 浅川 徹也, 水野(松本) 由子
    2013 年 40 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     幼少期の親子関係において良好な関係を築けなかった人は、青年期において人間関係構築の困難や精神疾患を引き起こす可能性が示唆される。そこで、健常成人87名を対象に内的作業モデル尺度(Internal Working Model: IWM)、気分プロフィール検査(Profile of Mood States: POMS)とCornell Medical Index(CMI)を用いて、青年期の親子関係と気分状態・心身状態を調べることを目的とした。IWMを用いて安定型、回避型、アンビバレント型の得点を被検者ごとに求めた。さらに、各被検者の得点のうち最も高値を示した型に基づいて、被検者を安定群、回避群、アンビバレント群に分類した。3群におけるIWMとPOMS、CMIの関連を統計的に比較した。IWMとPOMSを比較した結果、安定群は気分状態が安定していた。アンビバレント群はネガティブな気分状態が高値を示した。回避群では有意な特徴はみられなかった。IWMとCMIを比較した結果、安定群の心身状態は健康であった。回避群は身体的自覚症が高値を示した。アンビバレント群は精神的自覚症が高値を示した。今回の結果より、安定群はストレスに対する抵抗性が高く情緒的に安定していると考えられた。回避群は心理的苦痛を身体症状に転換し逃避するために、身体的自覚症状が顕著にみられると考えられた。アンビバレント群は自己不全感が強く、愛着反応に対して強いストレスを感じており、ストレスに対する脆弱性が高くなることで精神的自覚症が顕著にみられたと考えられた。これらのことより、親子関係と青年期の気分状態や心身状態が関連していることが示された。青年期における不適切な愛着関係を早期発見、修正することで精神疾患を予防することができることが示唆された。
  • 堀 三郎
    2013 年 40 巻 2 号 p. 259-265
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     オフィスワーカーにおいてしばしば認められる入社後数年間の急激な体重増加に関わる要因を把握して、有効な健康診断とそれに基づく保健活動のあり方について検討した。
     東京都心の事業所に所属する35歳未満のオフィスワーカーの2011年度定期健康診断受診者で慢性疾患を有さない男性574名、女性427名の合計1,001名を対象とした。健康診断の問診には、「健診におけるライフスタイル把握のための問診票」の8項目38問とともに、メンタルヘルス関連項目8問を用いた。今回対象とした年齢では、糖尿病や高血圧などの疾患が顕在化することは、軽症例を含めても極めて少なかった。一方で、体重増加は既に、特に男性において顕著に認められた。成人後の10kg以上の体重増加に影響を及ぼしている要因は5項目あり、食事を摂取する時間が速いこと、しばしば満腹まで食べること、汗をかく運動をしていないこと、夕食から就寝までの時間が1時間未満であること、からだの悩みを強く感じることであった。これらの中で、4番目と5番目の2要因では、好ましくない食事習慣とメンタルヘルスの双方に関連性が認められた。
     以上の結果から、35歳未満のオフィスワーカーを対象とする場合、健康診断の主たる目的を一次予防(疾患の発症予防)とし、結果の判定は、過去からの時間軸に沿ったdynamicな観点での判定を重視することが重要と考えられた。さらに、健康診断に基づく保健活動を行う際には、背景に潜む心身双方の関連性に配慮する必要性があると考えられた。
特集
総合健診とテクノロジー
  • 今井 裕, 市川 珠紀, 川田 秀一, 飯沼 元, 三宅 基隆, 杉野 吉則
    2013 年 40 巻 2 号 p. 266-273
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     近年、CT装置やワークステーションの進歩、前処置法の改良、炭酸ガス自動注入器の認可によりCT colonographyは、急速に普及している。前処置法には、従来のX線注腸造影検査や内視鏡検査に用いられている方法のほかに、陽性の造影剤を食事と一緒に摂取し、腸管内容物を高吸収域にするfecal taggingにより、病変と便塊を識別することが可能になった。さらに、腸管内容物を高吸収域にすることにより電子的に腸管内容物を抽出して除去することも可能で、デジタル前処置と呼ばれている。画像表示には、多くの種類が用いられている。それには2次元の断面像で示すMPR(multi-planar reformation)、X線注腸像に似ている腸管輪郭のみを示す画像(air image やsolid image)、内腔表示や仮想内視鏡像(virtual endoscopy)、腸管を切り開いて表示する展開像(dissecting image やvirtual gross pathology)、さらに内腔表示にMPR画像を貼り付けた画像などがある。読影には、それぞれの画像表示の特徴を良く理解し、組み合わせて診断する必要がある。また、最近ではCAD(computer aided diagnosis)を用いた大腸がんやポリープの検出能の検討も行われている。著者らの成績では、CADにより隆起型腫瘍は100%検出可能であるのに対し、表面型腫瘍での検出率はまだ低い。これからのCT colonographyの課題は、いかに表面型病変を検出できるかにある。
     大腸がん検診のための検査法としてCT colonographyは、①検査処理能力に優れており、他の検査法よりも短時間に多くの検査を実施できる。②画像データには客観性があり、撮影者の技量や経験等に検査の質は影響しない。したがって、検査法も標準化しやすい。③前処置も必ずしも完全な腸管洗浄を必要としない。④読影には経験が必要であるが、デジタル画像であるためCADを活用することができる。⑤検査自体の安全性が高いなどの利点がある。したがって今後は、これらの有用性を大腸がん検診にも積極的に活用すべきである。そして少なくとも、CT colonographyは大腸がん検診における二次検診の未受診者を減らすことができるかもしれない。
  • 川島 博子
    2013 年 40 巻 2 号 p. 274-280
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     MRIの普及とその性能の進歩には目覚ましいものがあり、乳腺疾患の診療においても、乳癌術前の広がり診断を目的にMRIは必要不可欠な検査となった。その高い病変検出能を乳癌検診に応用する試みも始まっているが、MRIの能力と限界をよく理解し、個々の患者に的確な情報を提供できるような、総合的な知識が求められている。
  • 四柳 宏
    2013 年 40 巻 2 号 p. 281-286
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     肝炎ウイルスマーカーを測定する最大の目的は肝炎ウイルス陽性者を早期に発見し、肝細胞癌を予防することである。現在、肝細胞癌患者の8割以上は、ウイルス肝炎を基礎疾患としている。HBV, HCVともウイルスキャリアを早期に発見し、抗ウイルス療法を行うことで肝細胞癌の予防が可能である。
     HBs抗原陽性者を発見した場合、その多くは慢性肝炎である。慢性肝炎の自然史のどの時点に被検者があるかを判断し、予後や治療の必要性を決定する必要がある。予後の推定は各種ウイルスマーカーの測定である程度可能であるが、専門医との連携が必要である。いずれにしても「肝機能が正常だからHBs抗原陽性でも専門医への紹介は不要である」と考えるのは間違いである。
     HCV抗体陽性者を発見した場合、HCV-RNAを測定し、ウイルスの感染が持続しているかを評価する必要がある。HCV-RNAが陽性の場合、慢性肝炎であることがほとんどである。従ってすべてのC型肝炎患者は抗ウイルス療法の適応がある。殊に血小板数が15万/μLの場合は進展した線維化を有する可能性があり、治療を急ぐ必要がある。治療にあたってはガイドラインを参考にすることが望ましい。また、C型肝炎の場合は生活指導も大きな役割を持つ。肝硬変・肝細胞癌への移行を防止するためには節酒、糖尿病の予防が重要である。
  • 笠巻 祐二, 橋本 賢一, 相馬 正義
    2013 年 40 巻 2 号 p. 287-292
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     健診における 3D心エコー法の活用について、現状の 2D心エコーの問題点と 3D心エコーの現況を踏まえながら今後の展望に焦点をあてて概説した。一般に健康診断では問診、内科診察、心電図、胸部X線検査、血液検査等が行われ、二次検査の1つとして、心エコーが行われる。通常は 2D心エコーが行われることがほとんどであり、その有効性については異論がない。しかしながら、本来 3Dの心臓を平面で把握する 2D心エコーではその評価に限界がある。さらに 2D心エコーでは検者の技術、熟練度により評価が左右される可能性がある。とくに、左室における壁運動評価や左室駆出率、左室容積を評価する際に、記録された断面に依存せざるを得ないといった問題は重要な点である。一方、近年の技術革新の進歩は目覚ましく、最近のリアルタイム 3D心エコーは高時間分解能、高画質であり、解剖学的構造の正確な把握のみならず、任意の 2D断面を切り出すことが可能である。また、リアルタイムフルボリュームの実現により、非常に精度の高い左室容量計測が可能となった。
     リアルタイム 3D心エコーでは検査後にフルボリューム画像から必要な断面を自由に切り取ることができ、2D心エコーでは得られない断面を得られること、かつ非常に精度の高い定量化が短時間で可能で、再現性も良いことから今後、二次健診の心エコーにおいても積極的に取り入れられていく可能性がある。今後あたりまえに 3D心エコー法が行われるような時代になるか否かは、更なる技術進歩もさることながらユーザーの意識改革も必要であると思われる。
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