総合健診
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日本総合健診医学会 第41回大会
日本総合健診医学会 第41回大会・教育講演4
頭痛専門医による頭痛診療
松森 保彦藤原 悟
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 40 巻 5 号 p. 534-537

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抄録

 頭痛は日常診療や総合検診、脳ドックにおいて遭遇する機会の多い症状の一つであり、頭痛が症候名であると同時に疾患名でもある一次性頭痛と、器質的疾患に起因する二次性頭痛に大別される。国内では約3,000万人以上が日頃頭痛に悩んでおり、そのほとんどが一次性頭痛ではあるが、つらい頭痛が繰り返し起こることは生活の質を低下させ、さらには生産性の低下などにより社会的にも悪影響を及ぼしている。一方、「頭痛には鎮痛薬」という旧来の単純図式的治療から、現在では片頭痛に対する有効な急性期治療薬の開発や頭痛予防治療の確立、また診療技術の進歩などにより、患者の病態に応じたテーラーメード治療を行うことで症状の改善が見込めるようになってきている。しかしこれまでの頭痛診療は、生命予後や後遺症に直結することのある二次性頭痛の鑑別に偏重しがちであり、問診が主体で正しい診断のために時間や手間のかかる一次性頭痛はやや軽んじられる傾向にあった。
 多くの慢性頭痛患者は日常生活支障度の高い頭痛を有するにも関わらず、これまで医療機関において十分な診療を受けることができなかったが、日本頭痛学会は2005年より専門医制度を発足させ、また2006年に発行した慢性頭痛の診療ガイドラインにおいても、頭痛専門医および頭痛外来の設置を推奨し頭痛診療レベルの向上を図っている。
 当院は東北地方における脳神経疾患の基幹病院としての役割を果たしているが、頭痛を訴えて来院する患者の割合も30-40%と多い。頭痛診療は2009年度まで一般外来で非頭痛専門医が対応していたが、2010年度から頭痛専門医による頭痛外来を設置し診療を行っている。この頭痛外来の設置により、特に片頭痛診療において大きな変化が見られた。本稿では頭痛専門医の介入による頭痛診療の変化を紹介し、より良い頭痛診療とは何かについて検討する。

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© 2013 一般社団法人 日本総合健診医学会
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