2014 年 41 巻 2 号 p. 274-282
大学女子バレーボール、テニス、空手道部員42名を対象に貧血の栄養サポートにおける基礎的情報を得ることを目的とし、栄養素等・食品群別摂取状況、血液生化学検査値について検討した。対象者は血清フェリチン値を基に3群(Low、Middle、High群)に分類した。栄養素等摂取量では銅を除いた項目の適正量を3群とも満たしておらず、さらにLow群はクリプトキサンチンおよびビタミンCが有意な低値を示した。血液生化学検査では、3群とも鉄飽和度を除いた全ての項目は基準値内であったが、Low群はヘモグロビンおよび 血清鉄が有意な低値を示し、総鉄結合能および不飽和鉄結合能が有意な高値を示した。以上より、貧血は存在しなかったがLow群のみが前潜在性鉄欠乏を示した。これは、クリプトキサンチンおよびビタミンC不足による非ヘム鉄の吸収効率の低下、および非ヘム鉄の供給不足が一因として考えられた。