総合健診
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原著
上部消化管内視鏡検査における咽頭麻酔の工夫
─香りつき氷麻酔のメニュー化を試みて─
野崎 準子上田 重子伊藤 泰子鈴木 誠子
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2018 年 45 巻 3 号 p. 461-465

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抄録
 上部消化管内視鏡検査は被験者に大きなストレスがかかる検査であることに加え、咽頭麻酔薬として使用しているキシロカインに独特の苦味があり苦痛を助長している。その問題点を緩和するために咽頭麻酔薬に甘味と香りを加えた。H28年1月からの上部消化管内視鏡検査受診者500名を対象とした。キシロカインビスカス5mLに単シロップ2mLと香りを加え凍らせた。色々な好みに対応できるよう一般的な香り4種類として苺・メロン・珈琲・オレンジと無香の計5種類メニューから選んでもらい、検査後にアンケートを行った。その結果、珈琲・苺・オレンジ・メロンの順に選択され、被験者の90%が気分的効果を得られ、70%は苦味が和らぎ、30%が美味しく感じた。一番評価が高かったのは珈琲であった。被験者の99%が次回も香りつき氷麻酔を希望された。90%の方が気分的効果を得られた理由として、香りがあること、甘味があること、複数から一つを被験者自身が選べるという能動的な行為にあったことが考えられる。また、メニュー表を介しての看護師との会話がリラックスに繋がった可能性がある。99%の方が次回も同様の形式を希望されたので今後も続ける意義があると思われる。珈琲が一番支持されたということは、元々苦味のある珈琲の香りが麻酔本来の苦味を緩和させた可能性を示唆している。抹茶にも同様の効果があるか模索するなど工夫を重ね、より受容性の高い咽頭麻酔を提供しストレスの解消に努めていきたい。
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© 2018 一般社団法人 日本総合健診医学会
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