抄録
第46回日本総合健診医学会のメインテーマには、健診に脳心血管病予防のためのリスク管理チャートを健診に如何に有効に活用するかが取り上げられた1)。
脳心血管病の上流にあるのが糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病である。脳心血管病を引き起こす流れの最上流は、食事、運動などの生活習慣の乱れであり、引き続いて体重が増加した肥満、特に内臓脂肪蓄積が生じ肥満症、メタボリックシンドロームが発症し、生活習慣病が引き起こされる。特定健診・保健指導が成果を挙げたのは、単に肥満者を一律に減量させたのではなく、内臓脂肪蓄積が原因で糖尿病、脂質異常症、高血圧などを合併している人を選び出し、その原因である内臓脂肪にターゲットを絞って保健指導を行ったためである。
健診や人間ドックなどの予防医学においては、主に健康人が対象であり、その健康を維持し、軽度の異常を伴う人では健康の回復が目的である。一方、臨床の場では疾患を治療することで、脳心血管病の発症を防ぐのが目的である。したがって、健診、人間ドック等予防医学においては肥満、メタボリックシンドロームの予防が重要であり、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの発症を抑制することで、脳心血管病への進展を予防することができると考えられるので、肥満・肥満症、メタボリックシンドロームの予防、改善は重要な課題である。