総合健診
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原著
逆流性食道炎の男女別リスク因子
田中 和子堺 義子高垣 裕美子辻野 京子康永 真紀中西 英子南 慶子古林 孝保徳永 勝人
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2018 年 45 巻 6 号 p. 729-735

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抄録

 近年増加のみられる逆流性食道炎は、欧米で食道腺癌のハイリスクとされるバレット食道の危険因子である。男性の頻度は女性に比べ高いことが知られているが、男女別リスク因子については明確な報告はない。今回、逆流性食道炎の性別のリスク因子について検討したので報告する。2015年度の当センター上部消化管内視鏡受検者1,062人の内、ロサンゼルス分類-Grade A以上の逆流性食道炎あり群220人(男性188人、女性32人)となし群842人(男性492人、女性350人)について、年代、肥満、油物、飲酒、ストレス、喫煙、萎縮性胃炎なし、食道裂孔ヘルニアの8個の背景因子を男女別に検討し、ロジスティック回帰分析により性別のリスク因子を求めた。また胃粘膜萎縮程度を男女別に検討した。分析の結果、危険因子として男性で有意であったのは、オッズ比順に、食道裂孔ヘルニア(3.2)、萎縮性胃炎なし(2.1)、肥満(1.9)の3因子であった。60歳未満でオッズ比が増える傾向がみられた。女性では食道裂孔ヘルニア(6.8)、肥満(3.6)が有意な危険因子であった。萎縮性胃炎なしは男性のみのリスク因子であった。また女性では、C-2以上の萎縮の存在が男性より少なく、萎縮性胃炎に占めるO-1以上の高度萎縮の割合も男性に比べ有意に低値であった。

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© 2018 一般社団法人 日本総合健診医学会
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