本研究の目的は1)魚摂取量と心筋梗塞の発症には負の相関関係が認められている。2)魚摂取が心血管代謝危険因子(Cardio-metabolic risk:内臓肥満に起因する動脈硬化を惹起する危険因子:高血圧、脂質異常症、耐糖能異常、及びメタボリックシンドローム)に及ぼす影響は不明な点が多い。4)魚摂取を中心とした食習慣がライフスタイル全般の改善に関与しCardio-metabolic riskの軽減に効果があることが示唆されている。以上を研究背景とし、健康診断受診者を対象に2つの研究手法(横断試験、縦断試験)を用いて多面的に魚摂取量がCardio-metabolic riskに及ぼす効果を明らかにし、魚摂取の動脈硬化性心血管疾患の予防効果を検討することである。魚摂取によるCardio-metabolic riskの改善効果を具体的に示すことが可能になれば食事療法、とりわけ積極的な魚摂取の効果が広く世間一般に周知される。更に脳心血管病の予防のための食事療法の重要性を社会に還元し、予防医学の啓蒙に繋がる可能性がある。本稿では上記の研究を行うにあたり、学術的背景、研究仮説、及び実施計画等を紹介する。本稿は本研究を行うに当たっての研究デザイン/論理的根拠を示した論文である。