総合健診
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日本総合健診医学会 第48回大会
日本総合健診医学会 第48回大会・共催シンポジウム2 人間ドック健診で診る高中性脂肪血症 人間ドックにおける高中性脂肪血症の31年間推移と減量による改善評価からみた受診勧奨値の再設定
和田 高士長谷川 泰隆
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2020 年 47 巻 6 号 p. 669-675

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抄録

 長期間での高中性脂肪血症の有病率の推移を明らかにするために、東京慈恵会医科大学付属病院の1988年からの31年間の人間ドック受診者259,935名を対象に解析した。30歳から79歳までの症例を男女別に10歳刻みに分類した。各群での毎年の中性脂肪150mg/dL以上の有病率、脂質改善薬の服薬率を調査した。

 男性では全年齢群において高中性脂肪血症の有病率は減少した。女性は30歳代を除いた全年齢群で高中性脂肪血症の有病率の減少を認めたが、男性に比べると減少率はゆるやかであった。

 脂質異常改善薬の服薬率は年々増加したが、非服薬群に限定しても高中性脂肪血症の有病率の推移は、全体とほぼ同じような減少傾向を示した。

 BMIの推移は、男性では増加傾向、女性は減少傾向であった。飲酒量の減少から、高中性脂肪血症の有病率が減少した理由として飲酒量の減少が考えられた。

 体重減量による高中性脂肪血症の改善効果は、減量が大きいほど効果がみられたが、300mg/dL以上では効果が薄れていった。400mg/dL以上では強力な抗酸化物質である総ビリルビンが減少した。包括的リスクチャートでは500mg/dL以上を専門医紹介となっているが、人間ドック受診者を対象とした検討では、その該当者はわずか0.4%すぎない。健診では、150~399mg/dLは生活習慣改善とし、治療を前提とした受診勧奨のカットオフ値は400mg/dLに変更が望まれる。

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© 2020 一般社団法人 日本総合健診医学会
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