総合健診
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日本総合健診医学会 第50回大会
日本総合健診医学会 第50回大会・共催シンポジウム1 胃X線検診での有効な追加撮影とは 胃X線検診での有効な追加撮影とは
佐藤 慎祐
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 49 巻 5 号 p. 517-524

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抄録

 胃X線検診に従事する撮影技師は、救命可能な胃がんの発見のため、基準撮影法や新・胃X線撮影法であるガイドライン撮影法をまず習得する。ガイドライン撮影は、高濃度低粘性粉末バリウムを使用し、二重造影法を主体とした撮影法で、後壁、前壁、上部の順で撮影する。撮影技師は、検査中に自分の判断で追加撮影を行う。追加撮影像には、以下に示す3つの意味がある。①異常と認識されたが、その後の透視観察や撮影で正常粘膜とのかけ離れがないと判別できる画像②スクリーニングでの描出不十分な領域を補うための画像③異常と認識された所見が正常粘膜とかけ離れており、その粘膜の程度を詳細に描出する画像である。今回は、ガイドライン撮影の手技を妨げずに、正常粘膜とどれだけかけ離れているかを描出した画像を追加撮影像と定義し、その有効性について評価した。

 症例を検討した結果、透視観察で異常所見を認識したが、ガイドライン撮影の手技を妨げてしまい、その後のスクリーニング撮影に影響を及ぼしてしまった症例があった。一方で、追加撮影を行うための透視観察能力や撮影技術は持ち合わせていたが、診断の根拠や治療を考慮した情報といった、胃癌の肉眼的・可視的な特徴を得るための形態学が把握されていなかった追加撮影像も経験した。

 胃X線検診での有効な追加撮影像を得るためには、ガイドライン撮影を基盤とした撮影技術の組み立てが出来るようになる事、学会や症例検討会などから得た知識を撮影に応用させるなど、地道な作業と胃がんを発見するという情熱が、有効な追加撮影が身につくための近道であると思われた。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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